希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

大津由紀雄さんの学校英語教育論と「学校英文法」

8月4日の朝日新聞における松本茂氏との「誌上争論」に続き、8月21日には北海道新聞夕刊に大津由紀雄さん(慶應義塾大学)の「日本の学校英語教育」が掲載されました。 「争論」の記事は朝日の編集委員がまとめたものですが、今回は大津さん自身の書き下ろ…

根岸恒雄先生の新刊『楽しく英語力を高める“あの手この手”』

埼玉を拠点に、英語科における「学びの共同体」づくりなどの卓越した英語教育実践を展開している根岸恒雄先生が、待望の新刊『楽しく英語力を高める“あの手この手”:教科書の扱い・協同学習』を8月に三友社より刊行されました。 →Amazon 依頼されて書きまし…

新学習指導要領にどう対処するか(7)

新高校指導要領(外国語編)に対する批判を続けてきましたが、ひとまず今回で終わりです。ふー。 その前に、広島大学の柳瀬陽介先生が外国語教育における日本語利用の意義について、「翻訳教育の部分的導入について」と題した極めて優れた文章を書いておられ…

新学習指導要領にどう対処するか(6)

文部科学省の太田光春視学官といえば、新学習指導要領の策定時に外国語の教科調査官をしていた人で、「授業は英語で」の方針に深く関わった人物の一人です。 その太田氏と会って話を聞いた友人によれば、氏は「学習指導要領は法律です」と言い放ったそうです…

新学習指導要領にどう対処するか(5)

昨日(8月26日)は、アメリカ留学に出発するゼミ生の送別パーティーがありました。 「お見合いゲーム」で盛り上がったあとは、アメリカで寂しくないようにと、みんなで作った写真・コメントアルバムを渡し、ゼミの合宿やキャンプが写っている「エリゼミDVD」…

新学習指導要領にどう対処するか(4)

高校の新学習指導要領は、「授業は英語で」の文言に象徴されるように、「和訳」を極端に嫌っています。 指導要領解説でも、「訳読によらず」と明記されています。 しかし、高校生の学習にとって、和訳は決して悪いことではありません。 そもそも、訳読ではな…

新学習指導要領にどう対処するか(3)

3日間におよぶ教育のつどい2010(教研全国集会)から戻りました。 昼も夜も全国の英語教員の報告を聞き、語らい、飲み、とても充実した3日間でした。 いつもながら、困難な状況の中で創意工夫に満ちた献身的な英語教育実践をされている人たちの話を聞くこ…

新学習指導要領にどう対処するか(2)

今日8月15日は日本の「敗戦」記念日。 朝鮮半島では「光復節」です。 同じ日なのに、歴史的評価が大きく異なる意味を考える日にしたいと思います。 そして明日は教員免許更新講習「英語授業改善のあの手この手」をやらなければなりません。 この更新制に大…

新学習指導要領にどう対処するか(1)

お盆入りの8月13日、大阪大学中之島センターで、大阪大学大学院言語文化研究科主催の公開講座「教員のための英語リフレッシュ講座」があり、僕は「新学習指導要領にどう対処するか」と題して講演しました。(お盆でも働いているのですよ・・・) 9日から4…

伊藤和夫の外国語教育論(2)

絶えざる自己批判による進化 否定は発展の原動力である。 西洋哲学を専攻した伊藤和夫の精神には、その底流にこの考えが流れていたのではないか。 伊藤和夫は自分自身に対して仮借のない批判を加えることで、たえず進化をとげてきた。 たとえば、彼の最も初…

ゼミ夏合宿

8月9・10日、和歌山県有田川町清水で、江利川ゼミの夏合宿を行いました。 総勢12名。他のゼミからの参加者の方が多いのが、我がエリゼミの面白さ。 時代はハイブリッドです。 最大のイベントは有田川の清流での川遊び。 シュノーケルをつけて潜り、イカダ…

朝日の「英語教育論争」に大津さん補足

15年ほど前に担任した鈴鹿高専時代の教え子4人が、昨日から和歌山に遊びに来てくれました。 海鮮バーベキューをし、露天風呂に入り、花火を観て、我が家でビンテージワインと地酒の日本酒を楽しみながら、思い出話に花を咲かせました。 みんな、たくましく…

ゼミの同窓会(8月6日)

なつかしい顔、顔、顔。 午前3時まで、飲み、笑い、飲み、笑いました。 8月6日、昨年と一昨年卒業したゼミ生たちを中心に、エリゼミ同窓会が開かれました。 乾杯の前に、65年前のこの日、広島で原爆の犠牲になられた人たちへの黙祷を捧げました。 そして…

伊藤和夫の外国語教育論(1)

7.11慶應シンポ「英文解釈法再考:日本人にふさわしい英語学習法を考える」のために、明治以降の英文解釈法に関連する本を集中的に読んだ。 その中で、あらためて「すごい!」と思ったのは、駿台予備学校講師だった伊藤和夫(1927-1997)の業績、とりわけ彼…

今日の朝日新聞は英語教育特集!?

本日(8月4日)の朝日新聞は必読だ。 大阪本社版の第1面は「英語授業 助手と連携『偽装請負』」 以前、このブログで紹介した「読売新聞」の小学校外国語活動における「業者委託」の問題性を、さらに深く追求した秀逸の記事。 →過去ログ参照 第2面にも請負A…

教え子を「戦場」に送らないために(3)

去る7月30日に、この春に大阪の中学校の英語教諭になったゼミ生が、アポもなしに突然ゼミに参加してくれた。 ゼミに続く「中等英語科教育法」の授業でも、飛び入りのゲスト・ティーチャーとして、教員採用試験の勉強法や、学校の様子を話してもらった。 後…