希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

斎藤秀三郎の英語学習法(多読と精読と)

古い英語雑誌は面白い。 昔の人の英語学習の様子がリアルに伝わってくるからだ。 1924(大正13)年に『受験英語』(主筆・湯山清)という雑誌が創刊された。 (駿台予備校を設立した山崎寿春が1916年に創刊した同名の雑誌とは別のものだ。) 創刊号では、正…

学生から見た教師像(須貝清一の場合)

学生は教師をよく見ている。 僕らが学生のことを見ている以上に、学生は僕らをよく見ている(この「よく見ている」は「良く見ている」とは限らない)。 漱石の「坊ちゃん」ではないが、見られたくないところまで見られている。 須貝清一という先生がいた。 1…

文豪モームはスパイだった

英国の文豪サマセット・モーム(1874~1965)は英国諜報機関MI6のスパイだった。 そんな事実を盛り込んだMI6の正史がイギリスで出版された。 朝日新聞9月24日付の記事によると、810ページの正史をまとめたのはクイーンズ大学(ベルファスト)のキース・ジェ…

広島で出会った懐かしい参考書

9月18日、英語教育史学会に先立って友人たちと広島で呑んだ。 いつもとは違う店だったが、これがピンポ~ン ♪♪ おさかなも酒も、とても美味しかった。 絶品だったのは、生け簀から出したばかりのモンゴウイカのお造り。 まだ生きていて、「ごめんなさい」と…

成田先生の「英語の社内公用語」批判

9月19日に広島で開催された日本英語教育史学会の研究会から戻りました。 日本の首都は東京でしょうが、日本英学史・英語教育史研究の「首都」は広島だと実感して帰りました。研究発表も、討論も、参加者との歓談も、どれも質が高くて、いつも「行ってよかっ…

「書き写す」ことの意味

2回前の「敗戦直後の受験勉強(木田元の場合)」では、単語や書物を手で書き写す勉強法を紹介しました。 この「書き写す」ことに関連して、宿題となっていた渡部昇一・上智大学名誉教授の例を紹介しましょう。 敗戦直後は物資が極端に不足していたこともあ…

授業の「シナリオ作り」の大切さ

前回の記事にコメントを寄せてくださったtok*se1さんが、「『放送原稿』を持ちつつも,生徒たちの様子を全身で感じながら,他者との関わり,個別の形態を組み合わせて授業をしています」と書いておられました。 この「放送原稿」という言葉が、僕の中で忘れ…

敗戦直後の受験勉強(木田元の場合)

異常な猛暑で、ついついダラけでしまう。 これじゃいかん、と自分に鞭打って(べつにドMじゃないけど)、少しは勉強しないと。 そんなときには、先人たちの勉強ぶりを書いた本を引っ張り出すことにしている。 今日は、哲学者で中央大学名誉教授の木田元(192…

『英語教育』10月増刊号の愉楽

昨日は大学院の入試。 定員を超える受験生が殺到(?)してくれて、無事に終了。 なかには、このブログを見て「和歌山大学で英語教育を研究したい」と、他大学から受験に来てくれた人もいてビックリ。 ブログの力ってすごいですね。 大過なく終了し、学部長…

入試答案から見た英語教育の欠陥

明日9月11日は大学院の入試。早朝から終了まで、入試委員長の職責を果たさなければならない。ああ。 入試といえば、実はいま「受験英語」の歴史を調べているのだが、明治期の資料を読んでいると実に面白い。 明日の入試に当てつけるわけではないが、明治期…

新宮と大逆事件100年

入試説明会のため、9月8日、和歌山県新宮(しんぐう)市の県立新宮高校に行ってきた。 高校1年生を対象に、教育学部の魅力を語るという企画。 用意したパワポが使えなかったので、講義形式で50分を2回。 高1生は可愛い。担任をしていたころを思い出した…

9.19 日本英語教育史学会の研究例会(広島)

9月19日(日)に広島市で日本英語教育史学会の研究例会が開催されます。 どなたでもご参加いただけますので、ぜひお越し下さい。 英語教育の歴史から、未来のヒントをもらいましょう。 もちろん、僕も参加します。 日本英語教育史学会 第231回 研究例会のご…

英文和訳の文化的・政治的意義

「西周の訳語を用いずに、**を**し、**し、**を**して、**的な**を**することはできない。すなわち一般に**的な**は不可能である。」 戦前の左翼本の伏せ字ではない。 明治初期に、西周(にし・あまね 1819~1897)が西洋の学術用語を翻…

新しいギター「カジノ」をGet!

映画 Let It Be の屋上ライブで、ジョン・レノンが弾いていたあのギター。 「あれ、欲しいな~」と思っていましたが、思いは募り、買っちゃいました。(^_^ Epiphone社のCasinoです。 真ん中が新人のCasino君。左がFenderのTelecaster係長、右がライブでもっ…

本日、3万ヒット!

本日、3万ヒット達成 9月1日にブログ開設1周年のお知らせをしましたが、本日は3万ヒットのお知らせとお礼です。 別に「数値目標」を課しているわけではないのですが、こうして全国はもとより、海外のみなさんとも延べ3万回も交流できたことを心から喜…

9月4日(土)和歌山英語教育研究会

2010年度 第3回 和歌山英語教育研究会のお知らせ 和歌山英語教育研究会を下記の通り開催致します。関心のある方ならどなたでもご参加いただけます。 日時: 9月4日(土) 14:00~16:40(受付は14:00~) 会場: 和歌山大学地域連携・生涯学習センター 1F…

経済優先と子どもの危機

本日9月2日の『朝日新聞』に掲載された「子ども権利 守れてる?」には深く考えさせられた。 国連子どもの権利委員会の日本担当委員でドイツの教育学者であるロタール・クラップマン氏の意見が紹介されていた。 同委員会から、日本は今回も40項目以上の是正…

ブログ開設1周年

おかげさまで、ブログ開設1周年を迎えました 2009年9月1日にこのブログ「希望の英語教育へ」を開設して、本日で1周年を迎えることができました。 この間、のべ3万人近いみなさんと交流することができました。 ありがとうございました。 とても嬉しく、…