希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

英学史学会での展観資料(4)敗戦直後の英語ブーム

1945(昭和20)年8月15日の敗戦。

アメリカを中心とする連合軍(占領軍)が日本に進駐すると、それまでの「鬼畜米英」から一転して、空前の英語ブームが起こります。

日本英学史学会第49回全国大会での「資料展観 日本人の英語学び史」では、そんな激動期の資料も展示します。

敗戦の年の1945年からわずかの間に、下の写真ような英会話書や英語絵本などが多数刊行されました。

その代表が、1945年10月3日に発行され、またたく間に360万部を売りつくしたという『日米会話手帳』(科学教材社、定価80銭)です。 *写真の2段目中央。

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展示する予定の資料を著者、書名、発行日の順に列挙してみましょう。

科学教材社 日米会話手帳 1945.10.03

日米英会話研究会 実用日米英会話便覧 1945.10.25

杉山ハリス、西内正丸 ラジオテキスト 実用英語会話 第一輯 1945.10.25

佐藤剣之助 日常英語会話 第1輯 1945.11.15

木暮義雄編 英米会話手引 (A Manual of English Conversation) 1945.12.01

村山有編 英語略字略語辞典 English Abvreviation Guide 1945.12.20

松本かつぢ ABCコドモエホン Children-Book No.1 1946.03.01

東繁雄編集発行 アメリカの兵隊さんと太郎 日米会話絵本 1946.04.10

青木常雄編 言ひたいことの言へる英会話 1946.06.15

広瀬かに平、河井恒雄、/覗進 (絵本)ボクラノABC 1946.5.20

奈良市役所文化課編纂 即問即答 日米会話集 1946頃か

警視庁渉外課監修、日本交通公社編輯 警察官必携 英語手帳 1949.07.30

さらに戦時期の英語教科書や、敗戦直後の「墨ぬり英語教科書」と「暫定英語教科書」、そして以下のような日本国憲法の対訳教材も展示します。

研究社「時事英語研究」編集部 日本国憲法 和英対照 1946.12.01

外国語教育の究極の目標は、民族が相互に理解し合い、平和な世界を築くことです。

戦時期から敗戦直後の英語教材は、そんな思いを再確認させてくれます。

(つづく)