希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

原発の輸出をめぐる論説

いつもお世話になっている金原徹雄弁護士主宰の「メルマガ金原」No.683にとても興味深い記事が載っていましたので、ご紹介(引用)します。

日本経済新聞編集委員・安西巧氏の論説に注目しよう

 日本経済新聞といえば、財界機関紙とも言われ、政府の御用新聞あつかいされることも珍しくありませんが(少なくとも、私たちの周辺ではそうでしょう)、注意して見ていくと、「日経(あるいはその関連メディア)にこんな記事が載るの?」と驚くようなことがあります。

 たとえば、このメルマガでたびたびご紹介しているジャーナリストの藍原寛子さんの連載「フクシマの視点」を掲載しているのは、日本経済新聞社の子会社である日経BP社が運営するサイト「日経ビジネス・オンライン(日経BO)」です。

 去る11月11日、その日経BOに『“原発輸出”再開の愚』という記事が掲載されましたので、読んでみたところ、その末尾にこうありました。

 「『新成長戦略』の惰性でずるずると原発リスクを抱え込む野田政権。そこに、いまだ健在の“原子力ムラ”の無責任な蠢(うごめ)きを感じるのは筆者だけだろうか」
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 「よくぞ書いた」と感心して、「執筆者の安西巧という人はどういう人だろうか?」と思って調
べてみたところ、何と現役の「日本経済新聞社 編集局 産業部 編集委員」というではありませんか。


 ベトナムへの原発輸出についての日経の社説は、「原発輸出に『福島』の教訓を」という甚だ歯切れの悪いものでしたが、「安全な原発輸出で信頼向上を」ともろ手をあげて歓迎の意を表明した読売社説に比べれば、まだしも少しはブレーキがかかっていたという評価が可能かもしれず、その背景には、安西氏のような人の意見があったのかもしれません。

 また、遡って調べてみたところ、安西巧さんは、10月13日、同じく日経BOの「ニュースを斬る」というコーナーに、『東電“延命”のコストとリスク』という記事を書いていました。


 これも非常にうなずける内容の記事でした。

 また、ネット検索してみると、日本経済新聞Web刊(2011年4月14日)に、『東電の悪夢、問われる原発の合理性 吹き飛んだ2兆7000億円弱』という署名原稿が掲載されていました。


 6月6日に同紙Web刊に発表した『原発問題、混乱招いた最も聡明な人々』という記事は、残念ながら「会員限定」なのですが、その主要部分をブログで紹介してくれた人がいます。

  http://tkpilgrim.wordpress.com/2011/06/06/%E6%97%A5%E7%B5%8C%E3%81%AE%E4%BE%8D-%E5%AE%89%E8%A5%BF%E7%B7%A8%E9%9B%86%E5%A7%94%E5%93%A1/
 
 あたり前のことですが、記者を志して新聞社に入社した人たちが、みんな「大本営発表」の片棒担ぎになりたいと思っているはずはありません。

 1人の記者や編集委員の力で会社の基本方針を変えることは出来ないかもしれませんが、可能な範囲で良心に恥じない仕事をしようとしている人たちは少なくないはずです。

 私たちは、マスメディアに厳しい目を向けるのと同時に、そのような「良心」の存在に注目し、応援することを怠ってはならないと思います。

 最後に、安西さんの論説に説得力があるのは、原子力発電所の存在意義を「経済合理性」の観点から説明することは不可能だ、と見切っているからだろうと思います。
 つまり、長年の経済記者としての経験で培ってきた見識から自然に導き出される結論を発表しているに過ぎない、ということなのでしょう。

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金原先生、いつも精力的な情報発信をありがとうございます。
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