希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

シンポジウム「習得が容易な言語と難しい言語」

5回英語教育総合学会


 第17語教育談話との共同開催
 
日時:3月10日(日)13001700

場所:大阪大学大学院言語文化研究科A2F大会議室豊中キャンパス

特別講演
言葉の感性を高める語法の世界微妙な意味の違いを見極める 
                                                 八木克正関西学院大学
 
シンポジウム
「習得が容易な言語と難しい言語」
教授技法は言語によって違う
 
ミニマルな文法ですぐに話せる新たな基礎日本語教育の内容と方法 
                                                    西口光一大阪大学

なぜ英語の習得は難しいのか厳しい構造制約と激しい音声変容   

                                       成田一大阪大学
 
参加費:無料 詳細は英語教育総合学会HP参照。
一般の方の参加歓迎。直接会場にお越し下さい。
問い合わせ大阪大学成田研 narita@lang.osaka-u.ac.jp
 
シンポジウムの理念
日本の英語教育では、コミュニケーション偏重の中、文法教育が軽視され英語力が低下したまま、高校で「英語での授業」が始まる。シンポジウムでは、なぜ日本語教育ではコミュ二カティブな教育に早い段階で移行でき、英語教育ではできないかについて、日本語と英語の言語差だけでなく、文法的な仕組みの違いを取り上げて、同じ言語対でも学習困難度は違い、教育方法も違うべきことを明らかにしたい。
 
シンポジウム概要
八木講師 :「語法」という用語はいろいろな人がいろいろな研究を指して使われる。現象を観察することだけのものから、言語学的手法(認知文法であれ、生成文法であれ、その他どんな立場であれ)を用いてなぜそうなのか、そうでないのか、を明らかにしようとするものまで幅は広い。ここでは私の独自の研究方法とその成果を用いて、英語をより深く理解するためにいかに役に立つかを語ってみようと思う。
 
西口講師 :膠着語の一つである日本語は、欧米の言語に比べて文を作る際の決まり事が非常に限られており、既に共有している事柄は省略されるのが通常である。故に、一定の注意を払えば初習者でも「文法的に不正確でない発話」を行うことが容易である。本発表では、そのような日本語の性質を生かした基礎日本語教育のカリキュラムと教材を紹介し、そこでの学習と学習指導の原理について論じる。
 
成田講師 :日本人にとって英語の習得が難しいのは言語差だけではない。現に日本語は漢字を除けば欧米人にとってもそんなに難しくはない。英語は発音が激変し厳しい構造制約があるだけでなく、日本語にはない(数の一致やWH移動など)「瞬時の計算処理」の必要な操作があり、発話時の過重な負担となる。文法を定着させ半自動化することが、コミュニケーションの条件になることを明らかにしたい。