希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

ゼミで「LTD話し合い学習法」を演習

4月21日の江利川ゼミでは、「LTD話し合い学習法」の演習を行い、教材として文科省が2013年12月に発表した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を取り上げました。

4人1組のグループを2つ作って、それぞれ話し合いを進めていきました。

内容は巽君が作ってくれたゼミ通信La La Laを参照いただくとして、事前に江利川が配付しておいた「LTD話し合い学習法の進め方 V.4」の中身を紹介します。

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LTD(Learning Through Discussion)は協同学習(collaborative / collaborative learning)の一種で、次のような授業・学習方法です。

1. 「LTD話し合い学習法」の考え方と特徴

(1)主体的・能動的・協同的な学びが特徴。この過程で、学生自身が、思考力、解読力、表現力、コミュニケーション力など多くの面で自分の成長を実感することができる。

(2)予習と討論を通じて、主体的・能動的な「気付き」を得る。

(3)協同学習によって、多様な考えに接し、自分と仲間の学びを深め、人間関係を向上させる。

(4)自分で問い、自分で思考し、自分で答える創造的な探究心を養う。


2. 「LTD話し合い学習法」の8つのステップと討論での配分時間

(1)事前準備レポートの作成
学習課題(テキスト)を読んで、「事前準備レポート」をワープロ等で作成する。
あとで提出してもらうので,班名,氏名を記載のこと。以下の8つのステップで作成する。
著者の言葉を引き写すのではなく,自分の言葉でまとめること。

①課題を読む。②語彙の理解(わからない単語を書き出し,意味を調べる)、③主張の理解、④話題の理解、⑤知識の統合、⑥知識の自分への適用、⑦話題の評価、⑧リハーサル。 *各項目の概要は(2)参照。

(2)「ミーティング用過程プラン」での協同学習
授業では,まず事前準備レポートを相互に点検し,各自のレポートを手掛かりに(ただし極力見ずに)、小グループに分かれてミーティングする。ミーティグ時間は60分(短縮もあり)。

①導入(3分):自己紹介・雑談などでお互いに親しむ。
②語彙の理解(3分):重要語句について相互に確認し合う。
③主張の理解(6分):中心的な主張が何であったのかを確認し合う。
④話題の理解(12分):主張を支える複数のトピックを順番に確認し、内容を深める。
⑤知識の統合(15分):新たに得た知識はどのようなものか確認し、内容を深める。
⑥知識の適用(12分):得られた知識は自分にどのように役立つかを説明し合う。
⑦課題の評価(3分):この課題の問題点、改善点を話し合う。
⑧活動の評価(8分):話し合いをふり返り、改善点を話し合う。事後評価シート記入。

○「LTD話し合い学習法」の効果評価
(1)一定のルールに従って議論を共有し、共通した成果評価が得られやすい。
(2)予習学習意欲が高まる。
(3)テキストの理解度が高まる。
(4)協同的な討論を通じて理解レベルが高度になり、人間関係も深まる。

【注意】
(1)協同学習による学生の主体的な学びを尊重するためには,規範(ルール)を阻害する行為に対して厳しく対応する必要があります。放任したのでは学生の自律的・主体的な学びは成立しません。

(2)欠席・遅刻・課題の未遂行はチームの仲間に多大な迷惑をかけるので厳禁です。討論で発言しないのも同じです。

(3)携帯電話はマナーモードではなく電源を切り,カバン等にしまってください。バイブ機能も真剣な学び合いを邪魔します。

(4)ゼミの運営や資料に関しては,ゼミのメーリングリストDropboxのゼミフォルダーを活用しますので,頻繁にチェックして下さい。また,必要なレスポンスは迅速にお願いします。返事がないと届いているのかどうかがわかりません。

(5)最後に大事なことですが,ゼミは自ら主体的に作り上げていくものです。ゼミの進め方や課題について,積極的な提案を行って下さい。

参考文献例

岡本信広(年不詳)「LTD 話し合い学習法について」(PDF版)
  okmtnbhr.up.seesaa.net/image/090420EA20LTD20method.pdf
「KU:TO 10分でわかるLTD(話し合い学習法)」*ネット版動画
  http://www.ge.kumamoto-u.ac.jp/kuto/new_lesson/16.html
安永悟(2006)『実践・LTD話し合い学習法』ナカニシヤ出版
安永悟(2011)「LTD話し合い学習法」(特集)新しい教育方法の提案(PDF版)
  www.juce.jp/LINK/journal/1201/pdf/02_01.pdf

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