希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

クリス・バズビー氏の論文「福島の破局的事故の健康影響」

Peace Philosophy Centreに、クリス・バズビー氏(ECRR)が3月30日に発表した注目すべき論文「福島の破局的事故の健康影響」の日本語訳(原著者の許諾を得た正規版)が掲載されました。(メルマガ金原No.453より)。

その戦慄すべき内容の一端を、同サイトから抜粋引用します。

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 7月17-21日、日本各地で講演や記者会見を行ったECRR(欧州放射線リスク委員会)のクリス・バズビー氏が、3月30日に出した論文は、今後10年に福島第一200キロ圏内で20万人、今後50年には40万人もの超過ガンが発生するとの予測をしました。多くの関連記事や専門家インタビューで引用されているにも関わらず、まだ公式日本語訳が用意されていませんでした。今回、バズビー氏の許可を受け、北海道の内科医、松崎道幸さん監訳、翻訳家の鈴木宏子さんと、Peace Philosophy Centre の乗松聡子の翻訳で、日本語訳を発表します。
(中略)
 以下、この論文の「結論と勧告」を抜粋します。

1.ECRRリスクモデルにより福島事故の100キロ圏の住民300万人に対する健康影響を検討
 した。100キロ圏内に1年居住を続けることにより、今後10年間で10万人、50年間でおよそ
 20万人がガンを超過発病すると予測された。直ちに避難を行うことでこの数字は大きく減少
 するだろう。100キロ圏と200キロ圏の間に居住する700万人から、今後10年間で10万人、
 50年間で22万人が超過発ガンすると予測された。これらの予測値は、ECRRリスクモデルお
 よびチェルノブイリ事故後のスウェーデンでの発ガンリスクに関する疫学調査に基づいて算定
 されたものである。

2.ICRPモデルは、100キロ圏での超過発ガン数を2838人と予測している。したがって、福島
 事故によるガンの最終的な超過発生数が分かるときに、どちらのリスクモデルが適切かの答
 えがでるだろう。

3.日本の文部科学省が公表したガンマ線量の公式データは、一般的に承認された科学的
 手法を用いて、測定箇所の地表汚染レベルを逆算するために使用できる。その結果、IAE
Aは汚染レベルを明らかに低く見積もった報告を行っていることが分かった。

4.放射性同位体別の地表汚染レベルの測定を緊急に実施することが必要である。

5.100キロ圏の北西部に居住する人々は直ちに避難し、その地域を立ち入り禁止とすべき
 である。

6.ICRPリスクモデルを廃棄し、すべての政治的決定をECRR www.euradcom.org < http://www.euradcom.org > の勧告に基づいて行うことを求める。
これは、2009年のレスボス宣言に署名した著明な放射線リスク専門家が出した結論である。

7.一般国民から意図的にデータを隠した者に対しては、調査のうえ法的処罰を与えるべき
 である。

8.メディアを通じて今回の事故の健康影響の過小評価をもたらす行為を行った者に対して
 も調査のうえ法的処罰を与えるべきである。

 ぜひこの論文が幅広く読まれるように広めてください。バズビー氏の予測は、その数字の深刻さから、攻撃を受けることもあります。しかし論文の結論が気に入らないからといって否定する理由にはなりません。その結論に導くまでの前提条件と方法論、分析と結論を把握した上で、専門家から一般まで幅広く読まれ、内容が議論される必要があります。そういう意味でもこの日本語版の意義は大きいと信じます。

 日本語版はリンクを記した上での一部引用は自由ですが、転載をご希望の場合は許可を
取ってください。info@peacephilosophy.com <mailto:info@peacephilosophy.com >  までお願いします。
 以下が本文です。こちらのリンクからもPDFダウンロードできます。

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(参考サイト)
○ECRR2010年勧告(日本語訳) 「美浜の会」サイトより
   http://www.jca.apc.org/mihama/ecrr/ecrr2010_dl.htm

○7月17日 早稲田奉仕園スコットホール講堂でのクリス・バズビー氏講演会(映像)
   http://www.youtube.com/watch?v=UB55WfOvuks

○7月19日 会津若松市でのクリス・バズビー氏講演会(映像)
  その1 http://www.ustream.tv/recorded/16102905
  その2 http://www.ustream.tv/recorded/16103353

以上、「メルマガ金原」からの貴重な情報でした。