希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

『英語教育、迫り来る破綻』が届きました

「大学入試・卒業要件にTOEFL等」「小学校英語の教科化」「中学校の英語も英語で授業」・・・

自民党・政府・財界の危険な英語教育方針に異議を唱えるべく緊急出版される4人組ブックレット『英語教育、迫り来る破綻』ひつじ書房、定価952円+税)の見本本が、本日送られて来ました。

書店に並ぶのは7月4日ごろの予定です。

表紙は、ひつじに扮した私たち4人が、危険な政策に待ったを掛けるという奇抜なデザインです(装丁は上田真未さん)。
ひつじの顔が4人に似ています。(^_^;)

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目次は以下の通りです。

まえがき  iii

「大学入試にTOEFL 等」という人災から子どもを守るために(江利川春雄) 1

もう一度英語教育の原点に立ち返る(斎藤兆史) 29

英語教育政策はなぜ間違うのか:認知科学・学習科学の視点から(大津由紀雄) 51
【補論】 小学校英語の教科化   73

英語コミュニケーション能力は測れるか(鳥飼玖美子) 83

座談会「英語教育、迫り来る破綻」  117

英語教育政策年表  160

4 人組獅子奮迅録  164

あとがき  167

より詳しい内容は、ひつじ書房近刊案内をご覧ください。

Amazonなどでも予約受付中です。

自民党教育再生実行本部から「大学入試にTOEFL等」などのトンデモ方針が出されたのが本年4月8日。
まさに、新学期スタートのもっとも忙しい時期を狙うかのようでした。

一読して、身体が震えるほどの怒りを感じました。
「これは、学校の英語教育を破壊する」と思ったからです。

すぐにその危険性を本ブログに書いたところ、たった1日半の間に、通常の20~30倍に当たる6000を超すアクセスがありました。

実に多くの人たちが、この問題に強い関心、あるいは危機感をもっていることを実感しました。

(現在でも、本ブログでは賛成、反対さまざまな立場から活発に議論が展開されています。私たちの反省や自己検証を迫る指摘も少なからずあります。)

同じ頃、慶応大から明海大に移ったばかりで多忙な大津由紀雄さん、東大の駒場から本郷に移って間もない多忙な斎藤兆史さん、NHK「ニュースで英会話」などのレギュラー番組等で超忙しい鳥飼玖美子さんも、この問題に強い危機感を抱いていることがわかりました。
(忙しい人ほど危機に敏感なのかなあ・・・)

4人には、マスコミ等の取材も相次ぎました。
その概要も、本書の「4人組獅子奮迅録」に収めてあります。

そうしたとき、卓越した企画力と行動力をもつ「ひつじ書房」の松本功社長のお声がかかり、その危険性に警鐘を鳴らずブックレットを7月初旬までに緊急出版し、講演会もやりましょうとなったのでした。

4月28日には4人で緊急座談会を開き、その模様は本書にも収めました。

その後、ゴールデンウィークをつぶして原稿執筆。
刊行から逆算すると、締切まで2週間という早技を余儀なくされました。

その間にも、その後も、政府の教育再生実行会議の提言、産業競争力会議での議論、第2期教育振興基本計画の発表など、事態は次々に展開していきました。

しかし、基本的な問題点については、本書をお読みいただければ理解いただけると思います。

日本の外国語教育をどうするか。
その本格的な議論は、まだこれからです。

本書がその一助となり、次に続く世代の人たち(特に50歳以下)が、さらに理論と実践を深め、行動してくれることを願っています。