希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

小学4年生の協同学習を見て

6月24日(月)和歌山県内の小学校を訪問し、協同学習を取り入れた4年生の「算数」の授業を観察。

その後、先生方の研究協議会に参加し、最後に「認め合い学び合う協同学習による学力向上」と題して1時間ほどお話ししました。

まず、どの児童も笑顔で挨拶してくれたことが第一印象でした。
それと、先生がたの明るさ。

協同学習による学びの改革がうまくいっている学校に共通する特長です。

校長のイニシアチブのもと、同校の協同学習は昨年度から始まったばかりとのことですが、わずか1年ほどの間にメキメキ上達し、学力も見違えるように向上しました。

数年前までは、標準学力検査の結果が市内小学校の平均を下回っていたとのことです。

ところが、協同学習をとりいれるや効果てきめんで、現在では4年生を例にとると国語の平均が78.7で市内平均よりもプラス8.7、全国平均よりもプラス9.1、算数もそれぞれプラス3.7、プラス5.0に達するようになりました。

さて、4年生のクラスでは、授業開始と同時に全員で声を出して本時の目標(めあて)を確認します。
児童はプリントの「めあて」欄に、それを書き入れます。

「計算の順じょを説明し、全員が正しく計算することができる。」

教師も黒板に「めあて」を書きます。
さらに、本時の「学習メニュー」も提示されています。

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これらは協同学習を進める上ではとても大切なことです。
同校では、昨年から全クラスで実施されるようになったとのことです。

児童には教科書の内容に添ったプリントが配られています。
一人で解く時間があり、わからないところを聞き合う活動が続きます。

うっかり答えを教えそうになった仲間に対して、「答えを教えたらあかんやろ」とささやく声が聞こえます。

学び合いは高め合いであり、安易な教え合いではないことを子どもたちは自覚しているようです。

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自分たちの4人班だけでの学び合いではなく、他の班(きょうだいグループ)にも移動して、さらに学び合いを続けます。

この時点で、自分たちの班の間違いに気づく子もいました。

最後に、確認の問題4題を各自で解きます(5分)。
かなり難しい問題もありましたが、33人中23人が100点でした。

子どもたち全員が、45分の間ずっと学び続けていました。驚く程です。

ところで、全校のほとんどの先生たちがこの授業を見学しています。
ということは、他のクラスは「自習」です。

そこで、そっと教室を抜け出して、となりの教室の自習の様子をのぞきに行きました。

衝撃でした。

小学校4年生なのに、4人班に分かれて、静かにプリントに取り組んでいました。
無駄なおしゃべりはまったくありません。

小学校のこの段階で、もう自律学習者への歩みを始めている。

協同学習の威力を改めて感じた1日でした。