希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

外国語教育改革への提案

*2009年8月23日の「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい:教育研究全国集会2009」外国語分科会での提案「次年度への課題」をもとに執筆しました。(文責 江利川春雄 2009年9月1日)

1.一部の英語エリート作りをめざした競争と格差の外国語教育政策を批判し、協同と平等の原則で、すべての子どもに豊かな学びを保障しましょう。技能主義ではなく、人間性を育てる授業の創造に努めましょう。そのために、協同学習や集団的な学びを発展させ、教師の同僚性を高めましょう。

2.道徳教育や「授業は英語で」などの理不尽な方針を押し付ける新学習指導要領を乗りこえ、子どもの実態に応じた指導と、民主的な人格形成の力となる外国語教育を進めましょう。

3.条件整備もないまま前倒し実施され、教員に過重な負担を強いている小学校外国語活動の問題点を明らかにしましょう。言葉への気づきを育み、様々な言語や文化を公平に見る目を養う教材や指導法などの実践経験や悩みを交流し合いましょう。専科教員やALTの増員などを要求するとともに、次期指導要領での抜本的な見直しを含めた、あるべき方向を共に考えましょう。

4.教科書検定に反対する一方、教科書作成に学校現場の声を反映させ、内容のある教科書をつくる運動を進めましょう。学校現場での教科書の民主的な採択を推進しましょう。

5.自主的な教材を発掘・創造するとともに、読み取り、文法、音声、自己表現などの分野で経験交流を深め、教授・学習・評価についてのあり方を明らかにしましょう。

6. 人間性の尊さに目を開かせ、平和・民主主義・人権・環境を守り、国際理解・連帯をすすめる外国語教育の創造に努めましょう。

7.外国語教育の必要不可欠なクラスサイズの削減、時間数の増加に応じた教員定数の拡充、担当授業数の削減、英語専用教室の整備などの教育条件の獲得に努めましょう。

8.「外国語教育の四目的」を実践的に検証するとともに、教研活動・教研運動を職場から創りだし、外国語教師の連帯を強めましょう。

[外国語教育の四目的]
ヽ姐餮譴粒惱を通して、世界平和、民族共生、民主主義、権利擁護、環境保護のために、世界の人々との理解、交流、連帯を進める。
∀働と生活を基礎として、外国語の学習で養うことのできる思考と感性を育てる。
3姐餮譴汎鐱楔譴箸鯣羈咾靴董日本語への認識を深める。
ぐ幣紊鬚佞泙┐覆ら、外国語を使う能力の基礎を養う。