希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

協同的な授業研究会の持ち方

10月29日(土)に和歌山大学教育学部附属中学校で開催された平成23年度 教育研究協議会」に出席してきました。

英語科のお二人の先生の授業を見学し、11:15~12:50に事後の教科協議会(英語)が開催されました。

授業内容そのものも協同学習やICTの活用など、たいへん興味深かったのですが、ここでは事後の協議会の進め方がすばらしかったので、ここに絞ってご紹介します。

まず、全体の流れは以下の通りです。

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ハイライトは25分間のグループ別討議です。

授業見学者にはあらかじめ受付で「ワークショップ型協議会までの流れ」と題したプリントが配られており、そこには協議会の進め方の説明と、授業で「良かった点」(黄色)および「改善点」(青色)の付箋紙が各5枚付けられています。

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見学者は授業を見学しながら、その付箋紙に意見を書き込んでいきます。
ただし、付箋紙は各5枚しかありませんから、最終的に「良かった点」と「改善点」を5つまでに絞らなければなりません。

この観察メモにもとづき、各班5人程度で意見交換に入ります。
一般的な意見交換ではなく、自分が書き込んだ付箋紙に基づく意見交換ですから、論点が絞られ、効率的です。

意見を交換しながら、模造紙に付箋紙を貼りつけていきます。
類似した意見は付箋紙を並べて貼ります。

グルーピングされた意見を、それぞれ「協同学習」「ICTの活用」「ねらい」「フィードバック」などと色違いのフェルトペンで書き入れておくと意見集約がしやすくなります。

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こうして意見を整理し、それに基づいて全体討議のためのプレゼン用メモを画用紙に書き入れます。

全体討論では、その画用紙のメモを掲示しながら(もし時間がなければ付箋紙を貼った模造紙を掲示しながら)、各班の意見を2分間程度で発表します。

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こうした各班の意見発表に続いて、10分間ほど質疑応答が行われます。

それらを踏まえて、指導助言者(私です)から約15分のコメントを行います。

しかし、今回は付箋紙を貼りながらの班別意見交換が白熱し、けっきょく15分近く延長されましたから、指導助言者の発言時間は、なんと1分ほどしかありませんでした。(;泣;)

授業者からのコメントも一言ずつだけとなりました。

和歌山大学附属中はここ数年、協同学習を授業改革の一つに据えています。
しかし、研究協議会は長らく対面型・一斉型のままで、議論も活発とは言えませんでした。

英語科では私の提案で2年前から小グループによるワークショップ方式を取り入れ、意見の活性化を図りました。

本年度の協議会は、全校を挙げてワークショップ型を徹底し、文字通り協同的な研究協議会となりました。

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協同学習は生徒を変え、授業を変え、学校を変え、先生を変え、こうして研究協議会の持ち方までをも変えました。

すべてに共通するのは「深い学び」そして「人間関係力」の強まりです。

指導助言者(個人的には「共同研究者」という呼称の方が好きですが)としての私が「指導」する時間はほとんどありませんでした。

でも、それでいいのです。

まさに協同学習が教師の「指導技術」よりも、学習者自身らによる「深い学び」を尊重するように、研究協議会も指導助言者の「指導」よりも、参加者自らが発見し、気づき、協同で授業改革の方向性を見いだせれば、それが何よりなのです。

言いたいことを言えなかった私は、正直、欲求不満ですが・・・

11月19日の和大祭ライブでブルーハーツを6曲連発し、発散します。(笑)