希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

『英語と日本軍』増刷の御礼

本年3月末に刊行した拙著『英語と日本軍:知られざる外国語教育史』NHKブックス)の増刷が決定したとの連絡を受けました。

とても嬉しいことです。

この場を借りて、愛読いただきました皆さまに深く感謝申し上げます。

刊行以来、拙著はたくさんの書評をいただきました。

その一部は過去ログで紹介しました。




しんぶん赤旗」8月7日号にも高野邦夫先生(元八戸工業大学教授)による書評が掲載されていることを本日になって知りました

本日は、教員採用試験の一次に合格した2人のゼミ生(院生)の英語模擬授業対策のために、休日(大学の一斉休業のために年休を取得)にもかかわらず大学に出勤しました。

そのため、大学のレターボックスに届けられていた掲載紙に気づいた次第です。

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評者の高野邦夫先生といえば、拙著の参考文献にも挙げさせていただいた『軍隊教育と国民教育――帝国陸海軍学校の研究-』(つなん書房、2010)の著者であり、『近代日本軍隊教育史料集成』全12巻(柏書房、2004)の編者です。

文字通り軍隊教育史研究の第一人者である高野先生から、「これまでの日本軍研究に欠落していたユニークな視角からまとめられた、待望の研究書といえよう」との評価をいただいたことに感激しました。

心から御礼申し上げます。

さらに、大修館書店の雑誌『英語教育』9月号でも、拝田清先生(四天王寺大学教授)がすばらしい書評を書いてくださいました。

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私が言わんとしたことを、(私以上に)的確に言語化してくださり、感激しました。

とりわけ、「外国語教育の背負う『原罪』とでもいうようなことを思わざるを得ない」という部分に感動しました。

そうなのです。

私を含む外国語教員は、明治以来の自分たち(先輩を含む)の教育活動が日本近代史の戦争、侵略、敗戦といった大きな歴史事象と関連しており、まぎれもなく「原罪」を背負っていることを自覚しなければならないのです。

そうした自己批判を、いまは存在しない陸海軍(著しく復活しつつありますが)だけにではなく、自分を含む語学教員が迫られているのです。

この問題意識は、姉妹編の『英語教科書は<戦争>をどう教えてきたか』(研究社、2015)と共通です。

旧軍の幹部養成と現在の「グローバル人材育成」との間には、目的論上の差異はほとんどありません。

目的論=哲学なき語学教育は、ときに凶器=狂気となるのです。

 ☆

この夏休み中に、共著を含む3冊の本の原稿と校正を終わらせなければなりません。

明日からも講演等でしばらく出張です。

猛暑も加わって、ときに気が滅入りそうにもなりましたが、こうして皆さんに励まされて、さらに仕事をして参りたいと思います。