希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

『英語教科書は<戦争>をどう教えてきたか』への書評に感謝(2)

ご紹介とお礼がすっかり遅くなってしまいましたが、拙著『英語教科書は<戦争>をどう教えてきたか』(研究社、2015年7月刊)への2つの書評、およびテレビ報道に感謝申し上げます。

まずは、大津由紀雄さん(明海大学副学長)による「『いつか来た道』を辿らないために:愚民化政策の一典型例」(『週刊読書人』2015年9月18日)

大津さんの書評のうち、以下のことばは、特に嬉しかったです。

 「優れた歴史書がそうであるように、本書は単に過去を振り返るというだけのものではなく、明確な<現在性>を持っている。過去の事実を丹念に検証し、その結果が現在とどのようにつながっているかを明らかにする。同時に、現在は未来へとつながるものであるから、解き明かされた過去が現在を介してどんな未来へとつながり得るかも明らかにする。

 時あたかも安保法制をめぐるさまざまな見解が適切な視座を得られぬまま乱れ飛ぶ。このタイミングだからこそ、本書が教えてくれる過去の事実をわたくしたち一人ひとりがしっかりと受け止めた上で、いま成すべきことを熟慮する必要がある。と同時に、『グローバル化対応』の名のもとにほとんど無批判的に展開されている英語教育政策がグローバル化する社会を生き抜くために必要な批判的な心を育むためにほんとうに役立つのかどうかについても心新たに考え直すべきである。」

副学長という激務の中で、このような質の高い書評を書いてくださった大津さんに深い感謝を捧げます。
(次回お目に掛かった際には、カラオケまでつき合いましょうか・・・)

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つぎに、及川賢先生(埼玉大学准教授)が、大修館書店の『英語教育』2015年10月号の「New Books & DVDs」の冒頭で、『英語教科書は<戦争>をどう教えてきたか』をとても丁寧に紹介してくださいました。

実にみごとに本書のエッセンスをまとめてくださっており、驚嘆しました。

最後には、「英語教育の歴史を直視することが今後の英語教育を考える上で不可欠であると著者は強く訴えている」と締めくくってくださっています。

まさに、その通りの思いです。

及川先生に、深く感謝申し上げます。

このほか、ジャーナリズム関係の人たちが本書に関心をお寄せくださいました。

朝日新聞東京本社版は、本書の発売日である7月18日付夕刊のトップ記事として本の内容を紹介してくれました。


フジテレビ系列の「あしたのニュース」でも、「戦後70年 英語教育の歴史から、「戦争」に迫りました」と題して、内容の一部を紹介してくれました。


さらに、NHK和歌山放送局のディレクターが本書に興味を持ってくださり、私の研究室のみならず、戦時下で英語教育を受けた人へのインタビューや、古書店での資料探しの様子などのロケも交えて「英語教科書が伝える戦争」と題して、かなり詳しい報道をしてくれました。

これは、関西地区エリアでしたが、2015年9月18日朝の「おはよう関西」で放映されました。

また、和歌山放送局からは、内容を拡大して、9月29日夕方の「あすのWA!」で報じてくれました。

この他、出版業界向けの新聞『新文化』でも、既報の通り、見事な書評を載せてくれました。


いずれに対しても、深く感謝申し上げます。

願わくば、本書を通じて、学校の英語教育が単なるスキル教育ではなく、「いかなる人間を育てるか」という人間教育・主権者育成教育にかかわるものであることを再認識いただければと思います。