希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

福島の高校生の絶望 聞いて

5月31日の朝日新聞(大阪本社版)「声」の欄に載った福島県定時制高校教員の投書は、ズンと心に響いた。

未来の希望である若い世代に、こんな絶望的な思いをさせてしまって、本当に申しわけなく思う。

地震の巣の上に54基もの原発を作らせてしまったのは、我々の世代の責任。
だからこそ、それをすべて止める責任が我々にはあると思う。



福島の高校生の絶望 聞いて (朝日新聞「声」2011.5.31)

授業で原発のことに触れた。「3号機が不調のようだね」と言うと、4年の男子生徒が怒ったようにこう言った。「いっそのこと原発なんて全部爆発しちまえばいいんだ!」

内心ぎょっとしつつ、理由を聞いた。「だってさあ、先生、福島市ってこんなに放射能が高いのに避難区域にならないっていうの、おかしいべした(でしょう)。これって、福島とか郡山を避難区域にしたら、新幹線を止めなくちゃなんねえ、高速を止めなくちゃなんねえって、要するに経済が回らなくなるから避難させねえってことだべ。つまり、俺たちは経済活動の犠牲になって見殺しにされてるってことだべした。俺はこんな中途半端な状態は我慢できねえ。だったらもう一回ドカンとなっちまった方がすっきるする」

こういう絶望の声は他の生徒からも聞く。震災でアルバイトを失った2年生は吐き捨てるように言った。「なんで俺ばかりこんな目に遭わなくちゃなんねえんだ。どうせなら日本全部が潰れてしまえばいい!」

一教師として応える言葉がない。ぐっとこらえながら耳を澄まし、高校生にこんな絶望感を与えている政府に憤りを覚える。



その政府が、不信任案決議で揺れいてる。

たしかに政府の対応は情けない。

しかし、原発を推進してきたのは自民党政権であり、そこには小沢一郎もいた。
彼らは、みずからでっち上げた「安全神話」に呪縛されて事故への対応策を怠ってきた。
電力会社のウソと事故隠しを放任し、監督官庁原発推進のための機関にし、利権まみれにしてきた。

だから、今回の大事故に及んでも、まだ情報を隠し、ウソをつき続けている。
原発政策が、数十年に及ぶウソと隠蔽の上に成り立ってきたから、簡単には軌道修正できないのである。
菅政権だけのせいにするのは本質の隠蔽だ。

半世紀に及ぶ原発推進政策への謝罪と路線転換なしに、いま不信任案を語る資格はない。