希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

2つのシンポ・学会を終えて

9月17-18日に県立広島大学で開催された日本英語教育史学会第27回全国大会が終わりました。

先週の慶應大「学習英文法シンポ」に続き、2週間で3つの発表というのはさすがにキツかったです。
でも、楽しかった!

9.10慶應シンポの実行委員会の院生さんが、写真を提供してくださいました。
参加を希望されながらも、定員超過のため断念された方が多いようですので、当日の雰囲気だけでもご紹介します。

なお、最終的には300人の会場に約350人が参加されたそうです。
<m(_ _)m>

慶應シンポの概要については、大津由紀雄さんのブログをご覧ください。

まずは9月9日、浅草で仲間と自主的に「前夜祭」。
スカイツリーとの新旧の対照が不思議な魅力でした。

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さて、9.10当日。
慶應大学日吉キャンパスの会場には、文字通り全国から熱心な聴衆が集まってくださいました。

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第1部の演者および演題は以下の通り。

江利川春雄(和歌山大学 )“学習英文法の歴史的意義と今日的課題”

斎藤兆史東京大学 )“足場としての学習英文法”

鳥飼玖美子(立教大学 )“コミュニケーション能力と文法:二者択一からの脱却を目指して”

田地野彰(京都大学 )“学習者にとって「よりよい文法」とは何か?-「意味順」の提案 -”

山岡大基(広島大学附属福山中・高等学校)“アルゴリズムとしての「学習英文法」”

大津由紀雄慶應義塾大学 )“日本語への「気づき」を利用した学習英文法を考える”

ということで、僕はトップバッター。無事に出塁できるか?

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休憩をはさんで、討論に入ります(上の登壇者が右から並んでいます↓)。
討論者として鋭いツッコミを入れてくださったのは久保野雅史(神奈川大学)、松井孝志 (山口県鴻城高等学校)の各氏でした。

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討論参加型司会者は柳瀬陽介さん(広島大学)。
頭の回転の速さ、論点整理の巧みさ、ツイッターの機能を活用してのリアルタイムでの意見集約(僕はホテルで拝読しました)などなど、さすがは柳瀬さんでした(↓写真右。左では僕と斎藤兆史さんが作戦会議?)。

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全体討論では、まず英文法研究の泰斗であられる安井稔先生が発言されました。
先生は1921年のお生まれですので、今年90歳。
目はほとんどお見えにならないとのことですが、抜群の記憶力、明快な論理展開、ユーモアのセンスで、聴衆を魅了しました。

「英語はlearnすることはできるが、teachすることはできない」という言葉が印象的でした。

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6時間におよぶ長丁場のシンポジウムでした。

引き続き、懇親会。
というか、ひっきりなしの「討論会」でした。

それでも、語り尽くせません。
なによりも、「では、学校でどう文法を教えていけばいいのか」という実践的な方法については、まだまだ今回は十分に触れることができませんでした。
さっそく次の準備が必要でしょう。

今回のシンポの内容を膨らませて、研究社より『英文法は必要だ。』(仮題)が来年にも出版される予定です。

まだまだ、仕事(たたかい)は始まったばかりです。

(広島大会については、次回に。)