希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

協同学習でよみがえる学び

今日は、和歌山県内の中学校で開催された「協同的・協力的な『学び』への授業の工夫改善に向けた第6回校内公開授業研修 研究者指導訪問(2)」にお邪魔してきました。

感想を一言で言うと、和歌山県における先端的な授業改革・学校改革の拠点校が、協同学習を核に、いまここに形成されつつある」ということです。

感激しました。

配付資料には研修会の目的が明記されています。
それによれば、「指導と評価の一体化を切り口に、協同学習・学び合いに向けた授業の工夫改善を行うことで、生徒の学力と教師の授業力の向上をめざす」というものです。

中を読むと、なんと私が書いた「英語教育になぜ・どう協同学習を導入するのか」が全文引用されていました。

拙い論考ですが、こうして実際に学校の授業改善に活用いただき、嬉しい限りです。

公開授業では、美術、社会科、数学、そして英語を拝見しました。

まず、生徒たちがたいへん仲が良い。
同性、異性にかかわらず、ペワーク、グループワークを楽しそうに展開しています。

特に数学では、わからない子がわかった子に教えてもらい、先にできた子はグループの枠を超えて教えに走ります。それが、とても自然な感じです。

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英語の授業では、3年生だというのに、みな恥ずかしがらずにペアを入れ替え、どんどん会話を展開していきます。

指名されたペアが、クラス全員と見学者の前でスキットを実演。
商品を高く売ろうとする店員と、少しでも安く買おうとする顧客との英語での掛け合い。
実に楽しそうで、教室内は爆笑に包まれました。

これほど素晴らしい授業ぶりなので意外ですが、つい最近まで校内にはタバコの吸い殻が捨てられ、問題行動も多かったとのこと。保護者による学校評価も最低レベルでした。

しかし、今年の4月に赴任された校長先生を先頭に、わずか半年間で、協同学習を核として、みちがえるほどの変貌です。

協議会では、以前から5回この学校を見てこられた指導主事さんの言葉が印象的でした。

「先生が前でしゃべる時間がどんどん少なくなっています。生徒たちの表情がどんどん良くなっています。」

一斉型、対面型、教え込み型の授業の限界、その退屈さを見事に述べています。

協同学習で授業はよみがえる。

改めて、そう確信した1日でした。
次にお邪魔するのは12月12日(月)。さらなる進化が楽しみです。

今週金曜日(29日)は和歌山大学附属中学校に、11月17日(木)には滋賀県草津高校に参ります。

協同学習で授業を変えましょう。