希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

アンコール遺跡群の女神たち

この9月、念願のアンコール遺跡群を訪問しました。

ベトナムハノイ空港から約2時間でカンボジアシェムリアップ国際空港へ。

世界遺産アンコール・ワットやアンコール・トム(下図)をはじめ、さまざまな遺跡を巡ることができました。

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以前、インドのアジャンタやエローラの石窟寺院群を見学し、その素晴らしさに驚嘆しました。

なので、宗教文化の伝播という意味でも、アンコール遺跡群にはぜひ行きたいと思っていました。

あまりの素晴らしさ・奥深さゆえに、その全容などとても私には紹介できません。
でも、やはり感動を伝えたいという気持ちがムクムクとわき起こってきます。

で、今回は女神デヴァーターレリーフに絞って紹介します。

インドの遺跡でも感じたのですが、女神像はとても人間的で、見ていてホッとするのです。

そんな女神像が、アンコール・ワットだけで2000も彫られているといいます。
他の遺跡も含めると、いったいいくつの女神がいるのでしょうか。

まずは、やはりアンコール・ワットより2点を紹介します。

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アンコールワットが造営されたのは1113~1150年ごろと言われています。
日本でいえば平安時代の末期ですから、驚いてしまいます。

最初の2人はとても楽しそうに踊っていて、見ている方も思わず微笑んでしまいます。

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次は3人組。
髪型がみな異なり、一人ひとりが個性をもっています。

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このあとの女神たちを見ればわかるように、顔、髪型、衣装などがそれぞれ異なり、とても個性的なのです。
それぞれの女神像にはモデルがいたのではないか、という説が有力です。

次はアンコール・トム遺跡。
12世紀末から13世紀初めに造られたといいますから、日本の鎌倉時代です。

固い石に柔らかな曲線美や細かな装飾品を描くなど、卓越した技術です。

下の女神はやや伏し目がちで、ふくよかな唇がクメール人の特色をよく出しています。

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次の女神は、軟らかい微笑みがとても魅力的です。
石で作られていることを忘れてしまいそうです。

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パタリロのお口をしたデヴァーターもいました。
愛くるしいですね。

私の授業に出ていた女子学生にそっくりで、思わず笑みがこぼれました。

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もっとも気品があって美しい女神を紹介しましょう。

ため息が出るほど見事な彫刻です。

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回廊にずっと彫刻が彫られていて、あたかも石の中に神々(というか生身の人間)が生活しているような錯覚におそわれます。

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これらの彫刻を含む寺院群は、その時々の国王が権力を誇示するために造営させたそうです。

仏教を信仰した国王が亡くなり、次の王がヒンズー教を信奉したために仏像を破壊させたこともありました。

カンボジアの内戦などで、遺跡の破壊や盗難が続いた時代もありました。

それでも、現在まで生き抜いたクメール文化の遺跡群は、世界遺産の中でも突出した位置を占めるのではないでしょうか。