希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

出来成訓先生ご逝去

日本英語教育史学会初代会長の出来成訓(でき・しげくに)先生が、1月11日、逝去されました。

心からご冥福をお祈りいたします。

通夜・葬儀は以下のように営まれます。

 お通夜:1月15日(日)18時より

 ご葬儀:1月16日(月)13時より

 式場:サンセルモ玉泉院亀有会館
    〒125-0061 葛飾区亀有5丁目37-4
    直通電話:03-5616-2345
    会社代表電話:0120-50-0948
    ファクシミリ:03-5616-5678


喪主は、出来リエ様(奥様)です。

下の写真は、1999(平成11)年3月21日に拓殖大学文京キャンパスで開催された日本英語教育史学会第129回月例研究会における出来成訓先生(左)と高梨健吉先生(右)です。

イメージ 1

私はこのとき「データベースによる英語教科書史へのアプローチ」と題して研究発表させていただきました。

両先生にはたいへんお世話になりましたが、いまではともに故人となってしまわれたことが残念でしかたありません。

出来先生は1936(昭和11)年に東京で生まれ、1960年に早稲田大学第一文学部文学科英文学専修を卒業され、公立学校教諭、戸板女子短大、宇都宮大学を経て、神奈川大学国語学部教授、2007年の定年退職後は神奈川大学名誉教授になられました。

主な著書は以下の通りです。

<単著>
『日本英語教育史考』東京法令出版 1994
『英語<納得>の技術 受験英語考』辞游社 1997
『英語イディオモロジー教程』辞游社 2000

<共編著>
『英語教育史資料』(全5巻)共編著 東京法令出版 1980
斎藤秀三郎講義録集』校訂・解題 名著普及会 1984
『英語教科書の歴史と解題』高梨健吉共著 大空社 1994
『近代英学特殊辞書集成』監修 ゆまに書房 1998

神奈川大学国語学部でのご活躍ぶりは、石井美樹子先生の「出来成訓先生に捧ぐわれら神奈川大学三銃士」(2007)をご覧ください。


1984年に日本英語教育史研究会を立ち上げ(1987年から学会)、その初代会長として約15年にわたって文字通り献身的に学会を支えてこられました。

会長時代には学会誌『日本英語教育史研究』の編集をお一人で担当され、その刊行資金も先生の自費だったと伺っています。

退職後は「日本英語教育史学会賞」の副賞のための資金も提供されました。

私が初めて日本英語教育史学会に出席したのは、大学院生だった1990(平成2)年で、研究発表は出来先生の「構浜専門学校の英語教育」でした。

横浜専門学校とは、出来先生が当時勤務されていた神奈川大学の前身です。

その場で、私は入会を希望し、許されました。

それから、どれほど出来先生にお世話になり、励まされたかは言葉に尽くせません。

例会や懇親会で、また小まめにいただく葉書で指導を受けました。

私が教科書史や制度史的な研究に夢中になっていたとき、先生は「江利川さん、人間がいちばん興味を持つのは人間だよ」と助言してくださいました。

いかにも文学部出身らしい先生のお言葉で、工業高専機械工学科から経済学部に進んだ私の弱点を端的に指摘してくださったのです。

その後の私の研究にとって、大きな指針となる助言でした。

想い出は尽きません。

いまはただ、心からの感謝を捧げるのみです。

そして、出来先生が創設された日本英語教育史学会の第5代会長として、学会の発展に全力を尽くしますことをお誓い申し上げます。

出来先生、どうぞ安らかにお眠りください。

ありがとうございました。