政府が強引に進める小学校英語の早期化・教科化。
それがいかに効果がなく、むしろ英語嫌いを増やし、教員と子どもを疲弊させるだけか。
この問題について、僕はこれまで様々なところで指摘してきた。
「何のための小学校英語の早期化・教科化なのか」『教育と医学』第63巻第12号、2015
子どもと教科書全国ネット21 (編集)『大問題! 子ども不在の新学習指導要領:学校が人間を育てる場でなくなる?! 』合同出版(2016)
「次期学習指導要領と外国語教育」『クレスコ』16巻7号(2016年7月号)
以下は「赤旗日曜版」の記事 (ただし、僕はすべての政党と距離を置いている。念のため。)
そんな折、若い世代から力強い援軍が駆けつけてくれた。
1人は若き友人の寺沢拓敬さん(関西学院大学)。
特に、「小学校英語は労働問題である」という指摘は鋭い。
もう一人は、小島ますみさん(岐阜市立女子短期大学)。
彼女は、最新作「公立小学校における英語教育の早期化、教科化に関する一考察」(『岐阜市立女子短期大学研究紀要』第66輯、2017.3)を郵送してくださった。
これこそ、いま時代が最も求めている論文だ。
先行研究の博捜、鮮やかな論証、説得的な論述展開、明快かつ率直な結論。
僕の論考からも何度か引用してくださっている。感謝。
その「結論」部分を、箇条書きに直して引用しよう(31ページ)。
「外国語環境で他の条件が同じ場合、技能面における小学生の外国語の発達は、中高生に比べ遅く非効率である。特に文法の習得で小学生は不利であり、発音などの音声面でも大して有利にはならない。」
「情意面では、小学生の外国語学習に対する動機づけは一般に高いが、中学・高校生では低下し、早期に学習を開始した効果はほとんど見られなくなる。」
「公立小学校という英語教育を行う環境の整っていないところで英語教育の教科化や早期化を行うのは大変なコストがかかるが、それらのコストに見合う成果は期待できない。」
「十分な経費や人員配置も期待できず、教員や児童の負担ばかりが増大することが予想される。そもそも政策決定過程に問題があり、科学的な根拠に基づく合理的な判断がなされたとは言い難い。」
そして、新学習指導要領が強行されても・・・
「金銭的・人的負担に見合う効果がなければ、小学校英語教育は潔く中止または縮小を行うべきであろう。国家の予算や人的資源は限られている。中学校での英語教育の質を向上させた方が効率的であるだろう。」
いやはや、まったく賛成!
私たち年配の「4人組」(大津、鳥飼、斎藤、江利川)のバトンを引き継いで、寺沢拓敬さんや小島ますみさんのようなフレッシュな若手が、ぜひ「新4人組」(2人組でもいいけど)を結成してほしい。
かつて学習指導要領が告示された直後に、「ゆとり教育」から「確かな学力」へと大幅に路線変更した事例があった。
小学校英語教育の早期化・教科化は撤回し、限られた人と予算を中学・高校の外国語教育に振り向けるべきである。
仮に新悪臭・・・いや新学習指導要領が強行されたとしても、その次には小学校英語の早期化・教科化を撤回させよう。
そのために、声を上げ続けよう!