希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

放射線専門家とかいう長瀧重信氏の妄言

本日、大学の最高意志決定機関である教育研究評議会で僕は「教養外国語(英語)の現状と課題」と題したプレゼンをしました。そのあと自由討論の時間があり、「原子力村の人々の道徳的退廃」についてスピーチしました。

そして、年間20ミリシーベルトという当方もなく危険な値を福島の子どもたちに押し付けた文部科学省の責任と、一刻も早く避難および除染が必要なことも。

帰宅すると、弁護士の金原先生から「メルマガ金原No.445」が届いており、そこに書かれている放射線専門家・長瀧重信氏の講演内容のあまりのひどさに心底腹が立ちました。

ということで、以下にメルマガから紹介させていただきます。

7/8茨城県が招いた放射線専門家・長瀧重信氏の講演内容
 
福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」の山下俊一氏と神谷研二氏が、7月15日付で福島県立医科大学の副学長に就任しました。福島県民の放射能被曝データが欲しいがための福島入りでしょう。

その山下氏の師匠筋にあたるのが長瀧重信氏(長崎大学名誉教授)。とんでもない人物です。

長瀧氏(1932年~)は、4月15日に首相官邸HP(災害対策ページ)に掲載された「チェルノブイリ事故との比較」の共同執筆者の1人です。

以下に全文引用します。御用学者の結晶のような男であることがおわかりでしょう。
ついでに言うと、こんなデタラメな文章をいまだにホームページに掲げている民主党政権原子力政策がどれほどいいかげんかもよく分かります。
脱原発」を口にするなら、まっ先に取り下げるべきでしょう。

チェルノブイリ事故との比較(平成23年4月15日)

チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表した。これらの国際機関の発表と東電福島原発事故を比較する。

1.原発内で被ばくした方
  *チェルノブイリでは、134名の急性放射線障害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない
*福島では、原発作業者に急性放射線障害はゼロ。

2.事故後、清掃作業に従事した方
チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシーベルトで、健康に影響はなかった。
*福島では、この部分はまだ該当者なし。

3.周辺住民
チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーベルト以上、低線量汚染地の500万人は10~20ミリシーベルトの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに15名が亡くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準準300(乳児は100)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キログラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない
*福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない。

一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は明らかである

長瀧 重信   長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木 康人 (社)日本アイソトープ協会 常務理事
                    (前(独) 放射線医学総合研究所 理事長)

**********

この「チェルノブイリ事故との比較」については、様々な批判がなされていますが、その一例だけご紹介します。「Peace Philosophy Centre」で紹介された松崎道幸医師による批判です。
 
「7/8茨城県が招いた放射線専門家・長瀧重信氏の講演内容」との開催を伝えた以下の東京新聞の記事をお読み下さい。( 2011年7月9日 東京新聞(茨城))

放射線の健康影響」学ぶ 自治体職員ら対象に講演会 

県や市町村の職員を対象とした「放射線の健康影響に関する講演会」が八日、県庁であり、福島第一原発事故後、住民からの問い合わせや相談に対応している職員ら約四百人が参加した。

講演で長滝重信・長崎大名誉教授は、広島と長崎の原爆被爆者の追跡調査を基にした国際的な合意として「一〇〇ミリシーベルトを超える被ばくは発がんのリスクが上がるが、一〇〇ミリシーベルト以下については疫学的には分からない」と解説。その上で「一〇〇ミリシーベルト以下の放射線の影響は、野菜不足や受動喫煙といったほかの発がんリスクにまぎれて見極められない」などと話した。

講演会には橋本昌知事も参加した。職員から「(国が示す)基準値に振り回されている気がする」「家庭で作った農作物を食べて大丈夫か、という問い合わせが多いのだが(どう答えたらいいのか)」などの質問が相次いだ。(北爪三記)

*********

上記講演会(演題「放射線の人体に対する健康影響」)の資料(プレゼン用と思われます)のPDFファイルが茨城県のホームページに掲載されていました。何と53ページもあります。

「メルマガ金原」は本当に充実した内容です。感謝です。