10月15日の林桂子先生(広島女学院大)による和歌山英語教育研究会でのご講演(下の写真)を直接の契機に、昨日の大学院の授業でも多重知能理論(MI)について議論を深めました。
英語科における協同学習の効能性に興味を寄せる私としては、この多重知能理論に大いに食指が動きます。
人間の持つ多様で重層的な能力を正しく評価し合うことこそが、一人ひとりを尊重することにつながると思うからです。
もっといえば、人間のもつ多種多様な能力を、たとえばTOEICなどのたった一つの尺度で測り、それで「能力」を数値化することの限界と恐ろしさを日々感じているからです。
「人は皆それぞれ一組のMultiple Intelligences(多重知性)を持っており、少なくとも8-9つの知的活動の特定の分野で、才能を大いに伸ばすことができる」と。
その8つの知能とは以下の通りです。
1. 言語的知能 話しことば・書きことばへの感受性、言語学習・運用能力など(たとえば、作家や演説家、弁護士など)
2. 論理数学的知能 問題を論理的に分析したり、数学的な操作をしたり、問題を科学的に究明する能力(数学者や科学者など)
3. 音楽的知能 リズムや音程・和音・音色の識別、音楽演奏や作曲・鑑賞のスキル(作曲家や演奏家など)
4. 身体運動的知能 体全体や身体部位を問題解決や創造のために使う能力(ダンサーや俳優、スポーツ選手、工芸家など)
6. 対人的知能 他人の意図や動機・欲求を理解して、他人とうまくやっていく能力(外交販売員や教師、政治的指導者など)
7. 内省的知能 自分自身を理解して、自己の作業モデルを用いて自分の生活を統制する能力(精神分析家、宗教的指導者など)
8. 博物的知能 自然や人工物の種類を識別する能力(生物学者や環境・生物保護活動家など)
さて、小・中・高校などの公教育としての英語科教育は、そうした多様で重層的な知能を持つさまざまな子どもたちに対して、英語を教える+学び合う活動です。
ですから、ある人には効果的な教授法や指導法でも、他の人にはあまり効果がないことがあります。
ということは、対面型の一斉授業を中心にするよりも、4人程度のグループで、各自が得意とする知能を生かし合い、多重的で総合的に知能を結集すれば、1+1+1+1が4ではなく、5にも10にもなり得るのです。
協同学習の豊かな可能性を拓くために、さらに多重知能理論への理解を深めなければなりません。