希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

松野良寅先生(山形大学名誉教授)ご逝去

松野良寅先生山形大学名誉教授)が、3月12日に86歳でご逝去されました。

昨日、ご遺族(東京在住)からいただいたお葉書で初めて知りました。

ご葬儀は3月14日に近親者にて行われたとのことです。

松野良寅先生は、山形県のご出身。米沢中学を経て海軍兵学校に75期として入校。
戦後は東北大学法文学部英文科を卒業し、母校の教員や山形県教育庁主事などを務められました。

1967年(昭和42年)から山形大学工業短期大学部助教授、同教養部教授、1992年(平成4年)から東北芸術工科大学教授を歴任され、同大学時代には日本英語教育史学会全国大会を招致されました。

学校史の名著『興譲館世紀』で日本英学史学会第1回豊田實賞を受賞され、日本英学史学会会長も務められました。

この他、英学史に関しては『米沢の英学』米沢豆本の会(1980)、『東北の長崎:米沢洋学の系譜』私家版(1988)、『会津の英学』歴史春秋社(1991)などを上梓され、数多くの論文を発表されています。

英学史研究に加え、『米沢市史』編纂委員会委員長をされるなど、綿密な考証と流麗な筆遣いで、郷土の史跡や人物誌を多数発表されました。

松野先生は、私が海軍兵学校の英語教育史を調査研究していることを知るとたいへん喜ばれ、激励のお手紙とともに、ご自身の御著書や、兵学校の英語教科書や多数の資料を送ってくださいました。

強いリーダシップをお持ちの先生で、西日本に住む私を日本英学史学会「東日本支部」に誘ってくださり、入会と同時に研究紀要への執筆を働きかけてくださいました。

当時は、厳格な「松野司令官の命令」といった感じだったことを覚えています。
でも、少しもイヤミがなく、磊落なお人柄でユーモアがあり、同時に何ごとも「誠心誠意」といった言葉がぴったりの先生でした。

昨年7月の松村幹男先生に続き、また英語教育界の巨星を喪いました。

安らかにお休みください。

ありがとうございました。

合掌