希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

ゼミで「LTD 話し合い学習法」を実践

4月23日のゼミでは,「LTD 話し合い学習法」を取り入れました。

LTD(Learning Through Discussion)は協同学習(cooperative learning / collaborative learning)の一種で,事前準備(予習)と討論を通じて,学びの深さを格段に高め,人間関係力とコミュニケーション能力を向上させると言われています。

主体的・能動的な学びと協同作業が特徴です。
準備と討論のの過程で、学生たちは、思考力、解読力、表現力、コミュニケーション力を等多くの面で自分の成長の楽しみを味わうことができるようです。

LTDの進め方は以下の通りです。

(1)事前準備レポートの作成

学習課題(テキスト)を読んで、「事前準備レポート」をワープロ等で作成します(あとで提出してもらいます)。
以下の8つのステップで作成します。
著者の言葉を引き写すのではなく,自分の言葉でまとめることがポイントです。

①課題を読む。②語彙の理解(わからない単語を書き出し,意味を調べる)、③主張の理解、④話題の理解、⑤知識の統合(バラバラな知識をつなげ,体系化していきます)、⑥知識の適用(自分との関係など)、⑦話題の評価、⑧リハーサル。

(2)「話し合い」での協同学習

授業では,まず事前準備レポートを相互に確認し,各自のレポートを手掛かりに(ただし極力見ずに)、小グループに分かれてミーティングします。
ミーティグ時間は60分です(短縮も可能です)。

①導入(3分)、②語彙の理解(3分)、③主張の理解(6分)、④話題の理解(12分)、⑤知識の統合(15分)、⑥知識の適用(12分)、⑦課題の評価(3分)、⑧活動の評価(8分)。

このように,事前準備レポートも討論も,何をするのかが細かく規定されていますので,漫然と「
予習しなさい」とか「討論しなさい」というよりも,格段に学びの質が深まります。

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討論が白熱してくると,学生たちは自ずとお互いに接近します。

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今回も,学生たちの準備時間は平均4時間を超えていました。
討論が1時間ですから,一つのテーマに5時間以上も費やしたことになります。

他方,討論には教師は干渉しないのが原則ですから,ぶっちゃけ教師はヒマです。
しゃべりたがりの教師にとって,これはけっこう苦痛です。

学生たちからも,「先生の話を聞きたい」という声が出ます。

このあたりにどう折り合いを付けるかが,今後の課題です。

それにしても,学生たちはよく学び,よく討論をしていました。

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次回は「短縮版」にして,私との質疑応答の時間を増やすなど,バージョンアップしたいと思っております。

参考文献・資料等

岡本信広(年不詳)話し合い学習法について」(PDF版)

「KU:TO 10分でわかるLTD(話し合い学習法)」*ネット版動画
  http://www.ge.kumamoto-u.ac.jp/kuto/new_lesson/16.html

安永悟(2006)『実践・LTD話し合い学習法』ナカニシヤ出版

安永悟(2011)「LTD話し合い学習法」(特集)新しい教育方法の提案(PDF版)

授業の様子は,「ゼミママ」の一之澤さんによるLa La La 第2号をご覧ください。

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