希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

教員採用試験合格体験記(4 最終回)

江利川ゼミ4回生 永田眞也(大阪府中学校英語科合格)

<面接試験 模擬授業10+5分、面接約10分>

 会場に到着したら、自分の受験番号を前方のホワイトボードで確認しながら、指定された席に座り、そこに置かれている席の番号を覚えておく。荷物は通路に置かずに椅子の下に入れておくのが無難。指示に従って名札を付けたり、面接個票を確認したり、座席に置かれているカードに目を通して注意事項や模擬授業・面接をする部屋の番号を確認する。

(1)模擬授業 構想10分、実践5分弱。
 大阪府には今回から導入された新しい試験である。
 全体に何種類かの試験問題が配られてから(問題はカードの下に置かれるので見ることはできない)部屋の向かって前の方から順に試験問題を開いて構想を練る時間を10分ずつ与えられる。
 5分刻みで、順番に後ろの列に指示が出され、構想時間がスタートする。10分間の構想時間の後、指示に従い、構想を書いた問題用紙だけを持って待機部屋を出る。そこで各教室へ移動するように指示が出るので、模擬授業を行う教室へ移動する。指定された教室の前で待機する。前の人が出てきたら「もう入ったらすぐに始めて下さい。」と一言言われる。
 入室し(この瞬間から5分のカウントダウンが始まっている)、受験番号、名前、模擬授業のテーマを発表し、すぐに模擬授業に移る。
 試験官は3名いるが、どの試験官も、こちらの問いかけや指示には一切応じない。ホワイトボード、黒・赤・青のペンが使用可能。その他の教具等は当然だが使用禁止。
 5分経つと試験官が止めるよう指示を出すので速やかに止め、ホワイトボードを消して、問題用紙を入口そばの机の上に裏返して置いて退室し、次の人にまた一言声をかけてから、待機部屋に戻って着席、面接まで待機する。
 構想の段階で、黒・赤・青の3色のペンを使うことを想定して、色分けしておくと良い。私が受けたテーマについては、資料として(うろ覚えだが)問題用紙と同じような形で載せているので参考にしてもらいたい。

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模擬授業 (試験日 9月18日)

・構想時間は10分間です。
・模擬授業は5分間で行ってください。
・試験官は、受験者からの指示や問いかけには一切応じません。
・試験室ではホワイトボード、黒・赤・青のマーカー、イレイザーが使用できます。
・試験時間終了後はすぐに止め、速やかに退室してください。
・この問題用紙は入口傍の机に裏返して置いていってください。

<テーマ>
下の会話文において、下線部のWhoについてわかりやすく授業をしなさい。
A:“Who is that?”
B:“That is Tom.”
A:“Oh, I see.”

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 構想の10分間は思ったよりも短く、狙いと板書計画を考えるので精一杯だった。もし余裕があれば、そのテーマを含めた50分間の大まかな流れを書き入れておくと、好感触かもしれない。
 模擬授業の入室から5分が計られているので、生徒が受け答えをしてくれているものだと思ってテンポよくしなければ、自分の授業の良さを面接官に伝えることができない。
 私は構想時間が終わってから入室するまでの間に、「この発問だけは絶対に入れよう」や「この活動だけは入れよう」といった、授業の目玉となる内容やクラスルームイングリッシュなどの使用、5分弱の授業の流れをイメージトレーニングしておいた。
 結果、9割がたイメージ通りに進めることができた。入室時、授業時、退室時と、常に笑顔を忘れないようにすれば、何とかなる!

(2)面接試験 約10分間。
 面接試験は、模擬授業とは異なる部屋で行われる。向かって前の列から順に、面接室への移動が指示され、その際に荷物を全て持って移動する。
 面接終了後は待機部屋に行き、終了報告をして試験完了となり、会場を出ることができる。3列目以降の人は自分の座っている縦の列の2つ前の人が、待機部屋の入口に面接終了の報告をしたら、面接室へ移動する。あとは、約10分間の面接を受けるだけ。
 面接官は3人。私が面接を受けた部屋は真ん中に女性、両側に男性が座り、女性がこちらに質問をし、両側の面接官がメモを取るという形だった。
 入室し、受験番号と名前を言って、指示に従い着席。試合開始。質問と受け答えは以下のようなもの。
「ではまず1分間で自己PRをお願いします。」
協同学習、高校時代の部活とそこから学んだことを述べる。
「音楽の免許も取っておられるんですね。なぜ音楽の免許を取ったのですか。」
音楽が純粋に好きだったし、英語教育にも何か音楽科の要素を活かすことができないかと考えた結果だった。
「教育実習に行かれたと思いますが、そこで一番印象に残った出来事は何ですか。」
授業をしていて、ある子がずーっと考え込んでいたが、最後にひとこと「わかった!」と発したこと。忍耐をもって接していることが間違いではなかったという自信につながった。
「その子は一人で考え込んでいたのですか。」
隣の子がその子に付き添って教えてあげていたので、見守る方に徹していた。
「そうですか。では、各教科に於いて、それがどうしてもわからない子というのは出てくることになると思います。英語がわからないという子どもに対して、まずこれをしてみなさい、という指導のポイントがあれば、3つほど挙げて教えてください。」
語彙力、身の回りの英語を探してみること、聴くことからはじめてみては。
「なるほど、ではその3つのうちで、何よりもまずこれをやろうという指導のポイントはどれですか。」
語彙力。語彙力がなければ英語が読めないので。
「ではその語彙をつけるにあたって、なかなか習得できない子どもにたいしてどのように指導しますか。」
まず身の回りにある身近なものから始めることと、駄洒落や語呂合わせを用いて指導する。
「そうですか。部活の方はソフトテニスと合唱をなさっていたんですね。」
中学校の時はソフトテニス部、高校時代は合唱部だった。
「なるほど。中学校から高校に上がった時に部活を運動部から文化部に転身なさっている。その転身の理由は何ですか?」
当時の家の都合で、と言うと手を差し出してひきとめなさった。
「時間も迫ってきまして、最後の質問になりました。あなたはどんな教師になりたいですか。」
子どもに寄り添って、子どもとともに成長し続けることができる教師。
「はい、ありがとうございました。これで終わります。」
ありがとうござーしたー。

全部笑顔で答えてやったわ。
退室し、次の人に入室するよう一言言ってから面接終了報告、会場を後に。
これですべての試験が終了。合格発表を気長に待つこととなりました。

<終わりに>
 書いてみると意外と長い。状況説明などはイメージできるようにできるだけ細かくしたつもりだが、至らない点が多いと思われる。
 ところで、実はこの最後の面接試験の後で、筆記試験と実技試験の間の昼休憩で親しくなった数人の受験者の方々と一緒に昼ごはんを食べに行くことに。どんな場面でも人との輪を作ることができる受験者の方々がすごいと思った。そんなツワモノが、やはり教員採用試験を受けるんだなあと改めて感心。いずれまたどこかで再開するかと思うと非常に興味深い。

 教員採用試験対策に携わってくださったDr.江利川はじめ多くの講師や教授の方に改めて感謝申し上げたい。
 そして、この体験記が今後教採を受ける方々の対策の糧にほんのちょびっとだけでもなったら、私はもうそれだけで感無量。言うことなし。

 Where there is a will, there is a way.

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永田君、あらためて合格おめでとう! そして詳細な体験記に感謝。きっと良い教師になりますよ。
「教育は希望を語り合うこと。」
 江利川 春雄