希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

映画「ノッティングヒルの恋人」を教材に

後期の英語の授業は、すべて映画を使って行っています。

毎回の教材を作るのはたいへんですが、どんな映画のどこをプリントにしようか、などと考えながら映画を観てると、実にさまざまな発見があります。

来年度は、すでに1作が決まっています。
Les Misérables です。

さて、この1月はFreedom Writers(2007)にしようか、The Help(2011)にしようかと悩んだのですが、気晴らしに初めて見たNotting Hill(1999、邦題「ノッティングヒルの恋人」)にハマってしまい、これで後期の授業を締めくくることにしました。

(*ただし日本で発売されているこの映画のDVDには英語字幕が付いていません。これはいけません。語学の学習用に使いにくいからです。)

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主人公のAnnaは世界一有名な美人女優。英国ロケの最中、街で出会った本屋のWilliamと恋に落ちるという「ローマの休日」みたいなラブコメディーです。

ストーリーはもちろん面白いのですが、アメリカ英語とイギリス英語が飛び交って、両者の比較も楽しめます。

たとえば、イギリス人のWilliamは次のような英語を使います。

Let's get sloshed. (飲んだくれよう)

アメリカ英語なら、get drunk でしょうか。

また、(英)That's beastly. (ひどいもんだ)は、(米)terrible とか horrible でしょうか。

会話表現は早口で聴き取りにくいのですが、洒落た表現がたくさん出てきます。

昨日の授業では、2人がWilliamのお店で初めて出会うシーンのところを教材にしました。

店内で万引きしようとした男(Rufus)に警告を与えた後で、Williamはレジに戻り、本を買うAnnaに応対します。
(Chapter 3)

William: I’m sorry about that...

Anna: No, it's fine. I was gonna steal one, but now I've changed my mind.
   Oh, signed by the author, I see.

William: Um, yeah, couldn't stop him. If you can find an unsigned one, it's worth an absolute fortune.

僕がニヤッとしたのは、Annaのセリフです。

「この本、盗もうと思ったんだけど、気が変わったわ」

こんなユーモラスな一言を、万引き男に対応したばかりのWilliamに言うセンス。

続いて、次のやり取りがいいですね。

「あら、著者のサインがあるわ」

「やめとけって言ったんだけどね。サインがなければ、すごく値打ちのある本なんだけど」

まさに、英国風のhumourですね。

このあと、万引き男のRufusがAnnaにサインをねだるのですが、そこもおかしい。

Rufus: What does it say? (なんて書いたの?)

Anna: That's my signature… and above, it says “Dear Rufus… you belong in jail.”
(私のサイン。その上に「ムショ暮らしのルーファス様へ」と書いておいたわ。)

こんな会話のあと、AnnaとWilliamは恋に落ちてしまうのです。

来週はどのシーンにしようか。

教材作りって、楽しいですよ!