希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

大学生に人気の映画教材

2013年度の授業も終わり、1年間の実践を振り返る時期となりました。

専門科目とは別に、映画を使った「英語」の授業を担当しています。

今年は全部で12作品を取り上げました。
(ただし、マイケル・ジャクソンの数曲とプロモーションビデオやライブ映像は1本と数えています。)

テキストは使わずに、毎回自作のリスニング問題を課し、グループ内での相談タイムも設けています。
翌週には、前回の範囲から復習テストを課しますが、こちらは相談タイムはありません。

1月末の最後の授業で、学生たちが気に入ったベスト3を調査しました。

大阪大学国語学部の英語以外を専攻する学生たち用の「兼修外国語(英語)」を履修する32名から回答がありました。
3年生が中心で、うち26名は通年履修、6名は留学から戻ったために後期のみ履修です。
女子が23名と多く、男子は9名です。

調査では、「授業で取り上げた作品の内、最も良かったもの1つに◎、次に良かった2つに○を付けて下さい。」と尋ねました。

下の数字は、「最も良かったもの1つ ◎」を2点、「次に良かった2つ ○」を各1点と換算して集計した結果です。

さて、どうなったでしょう?
発表します!

1位 タイタニック  30点
2位 ノッティングヒルの恋人  24点
3位 アバター  16点
4位 レ・ミゼラブル  11点
5位 トイ・ストーリー(1と3)  10点
6位 プラダを着た悪魔  8点
7位 塔の上のラプンツェル  6点
7位 インビクタス  6点
9位 10万年後の安全  5点
10位 ママ・ミア!  4点
11位 マイケル・ジャクソンの曲とプロモーションビデオ  3点
12位 となりのトトロ(英語版)  2点

ただし、1位のタイタニックは1月の授業(3回)で使い、2位、3位も後期の授業で扱った作品ですので、記憶が鮮明だったという要因も考慮に入れる必要がありそうです。

なお、和歌山大学のシステム工学部の2年生でも映画を使った授業を実施したのですが、こちらは後期のみで、男子の比率が高いクラスです。

アンケートでは、使用した6作品の中から、気に入った2作品を挙げてもらいました。

その結果、理系の学生たちに人気だったのは以下の通りでした。

1位 塔ノ上のラプンツェル  22点
2位 ノッティングヒルの恋人  13点
3位 タイタニック  12点
4位 トイ・ストーリー  11点
5位 10万年後の安全  4点
6位 となりのトトロ(英語版) 1点

阪大と同じ作品を使いましたが、理系であることなどに配慮して、問題内容は変えてあります。

最後に、阪大外国語学部のアンケートの自由記述欄から、主な意見・感想を原文のまま紹介します。

トルコ語専攻 Yさん)
「まず一言、1週間で1番楽しみな授業でした! 映画が好きだからというのもありますが、他の授業にない魅力は、リスニング力をきたえられることです。実際TOEICのリスニングの点数がこの1年で数十点上がったのですが、間違いなく先生の授業のおかげです。あと、先生の映画のチョイスが本当に最高でした! 私が好きな作品を持ってきてくれたときはもちろん嬉しかったですが、全く興味のなかった作品も先生のおかげで関心を持つきっかけになったり、何にしても得るものの多い授業でした。映画を見終わった後の爽快感はとても大きなもので、それが授業で得られるというのは本当に素晴らしいことだと思いますし、毎週この授業が終わった後の帰りは満足感でいっぱいでした。もう英語の単位は取れていますが、聴講ででも来年取りたいと思える授業でした。1年間本当にありがとうございました。」

スウェーデン語専攻 Oさん)
「1年間毎週この授業が本当に楽しみでした。楽しみながらネイティブな言い回しや、アメリカ英語とイギリス英語の違いなどを学ぶことができてとてもためになりました。来年も受けられることなら受けたいです!(笑) 1年間ありがとうございました。Gleeなどのアメリカのドラマも観れたら嬉しかったです。あとDream Girlsとかも観たかったです。」

トルコ語専攻 Fさん)
「リスニングの授業なのに、映画やライブ映像などが用いられていて、楽しく受けることができました。また、グループごとに助け合いができるので安心できましたし、グループの人と段々仲良くなっていくのも、この授業の楽しみの一つでした。こんなに受けるのが待ち遠しくなるような授業は初めてでした。1年間ありがとうございました。」

もっと紹介したいのですが、長くなりすぎますので、ここまでとします。

ただ、改善意見として「すべてノーカットでやってほしい」という要望がありました。
うーん。時間的な制約もあり、悩ましいですね。

今回のアンケート結果を参考に、新作も交えて、来年度の計画を考えます。