希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

太平洋戦争期の雑誌『進学指導』

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レアな新着資料を紹介しよう。
アジア・太平洋戦争末期の1944(昭和19)年に発行された雑誌『進学指導』。
発行は英語通信社。発行人は今井精一だ。

古書店から届いたものは昭和19年1月号(第9巻1号)、同4月号(第9巻4号)、同5月号(第9巻5号)の3冊。
Webcatによれば、この雑誌は神戸大に2冊、東大に1冊しかない。
→所蔵機関一覧

受験用の雑誌なのだが、戦争まっただ中だけあって、表紙がスゴイ。
1月号も4月号も戦意高揚のためのカラー図柄で、爆撃機や爆弾を描いている。

ところが、5月からはカラーの表紙が消える。
その一因は「表紙用の高級紙が入手困難となった」ことのようだ。

1944(昭和19)年5月号の最初の記事は「入営(招集)延期校一覧」。
「学徒出陣」は文科系に適用されたが、この記事には「学徒出陣」の対象とされない医歯薬理工系の学部学科が詳細に記されている。

ここに記載されている学校・学科に入学できれば、兵隊にとられないわけだ。
だから、受験生たちは食い入るように活字をにらんだことだろう。親もか。

若い世代に、こんな心配だけはさせたくないものだ。