希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

広島の出張先で新資料発見!

イメージ 1

イメージ 2

9月19日、英語教育史学会で出張中の広島のアカデミイ書店で通信教育教材を発見。
大日本普通学講習会の『言文一致 普通学講義』第4回講習の第1巻、明治37年(1904)7月10日発行。
全国の主要図書館にも国会図書館にもないと思われる資料が、なんと350円。(^_^;)

同講義録の趣旨は「中学程度の学科目及び国民に必要なる普通学全科目」を通信教育すること。
設立は明治33年(1900)9月で、過去3回の講習で「会員の総数実に三万五千九百有余の多数に昇り、異常の好結果を得た」とある。
会長は永井直哉、科外講師及び賛助員に坪内雄蔵(逍遙)や金澤庄三郎(のちに三省堂の『辞林』で有名)の名もある。

外国語の担当は「英語」が高橋龍雄(早稲田中学講師/國學院講師)、「英文法」が西川巌(文学士)、独乙語が泉道雄(文学士)。
中学校で第二外国語が課されなくなったこの時期にドイツ語が講じられているのは珍しい。

いずれも、第1巻だけに初歩の初歩から始めている。講義形式だから、この時期における入門期教授法の実態を窺い知ることのできる貴重な資料だ。

日露戦争まっただ中で刊行されただけあって、巻頭に明治天皇の写真、次いで「教育勅語」が掲げられている。
また、附録には「日露大戦争史」が連載され、会員からの通信には軍艦「赤城」の乗組員である中村元光から「第三回旅順港口閉塞実況」が寄せられている。実戦参加者の手記だけに臨場感たっぷりだ。
それにしても、いかに戦意高揚のためとはいえ、軍事機密にかからないのだろうか。のちの昭和の戦争では考えられない。

なお、「赤城」はこの年の5月18日に、旅順沖で砲艦「大島」と衝突事故を起こし、「大島」を沈没させてしまっている。この記事を投稿した直後ではないだろうか。中村さんが負傷しなかったかどうかちょっと心配。

(追伸:悪友らと2日で6軒はしごし、カラオケまで行った。広島風お好み焼きだのラーメンだので、体重増えた~。それにしても、広島では日本酒をウリにするお店に若い人がたくさんいたので、びっくり。嬉しかった。日本酒万歳!)