英作文参考書の歴史(7)山崎貞『新々和文英訳研究』(1925)
山崎貞や『新々英文解釈研究』については、→過去ログを参照されたい。
目次は以下の通り。
「公式編」「例題編」「解答編」から構成されている。
「公式編」「例題編」「解答編」から構成されている。
(1)単語を知らない。
(2)文法を英作文に応用することを知らない。
(3)どんな構文によるべきかを考えずに漫然と書いてしまう。
(2)文法を英作文に応用することを知らない。
(3)どんな構文によるべきかを考えずに漫然と書いてしまう。
これらの通弊に対応すべく、(1)の語彙不足については78頁にわたるジャンル別の詳細な語彙一覧(A Classified Vocabulary)を載せている。
(2)(3)の通弊に対しては、重要な構文を101個の「公式」として提示している。
この手法は、『公式応用 英文解釈研究』(1912)で山貞が実践したものと同じだ。
こうして、一通り「公式」をマスターした後に「例題編」へと進む。
例題は「学事」「図書」「人事」「軍事」など20のテーマ別に、各50ずつ、合計1000題が載せられている。そのほとんどが入試問題で、出題年と学校名を明記して受験生の心理をバッチリつかんでいる。
難しそうな表現に対しては、脚註の形式で豊富な英訳例が与えられている。
背景には、1924(大正13)年に高等学校の入試問題にアクセント記号を付ける問題が出されるなど、1920年代に発音指導への関心が高まったことがある。
「解答編」には複数の模範解答が載せられ、註釈も親切だ。
同じ山貞でも『新々英文解釈研究』の方は改訂を重ね、1990年代まで発行され続けたのに、どうしてだろう。
その理由は、山崎貞が1930(昭和5)年に亡くなったこともあるが、何よりも日本の軍事や天皇制に関する記述があまりに多いからだ。
「944. 日本人は水雷攻撃にかけては世界第一といふ事が出来る。」
これまで英語教育界では、「題材論」がもっぱらリーディング教材を中心に論じられてきた。
しかし、僕らは題材論の研究を「英作文」にまで拡張しなければならないのではないか。
しかし、僕らは題材論の研究を「英作文」にまで拡張しなければならないのではないか。
「発信型」の英作文(ライティング)こそ、自分や自国を能動的に表現する。
だからこそ、題材論にもっと注意を払いたいものだ。
だからこそ、題材論にもっと注意を払いたいものだ。