希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

幕末以降外国語教育文献コーパス画像データベース

2010年度科学研究費補助金の内定を受け、「幕末以降外国語教育文献コーパス画像データベース」を本格的に構築することになりました。
本年度の助成金は310万円です。

忙しくなりそうですが、埋もれている外国語教育資料を大規模にネット上で公開し、世界中の誰もが活用できるようにしたいと思います。

データベースの概要は以下の通りです。

(1)日本人による外国語摂取の足跡を実証する包括的な教育史料画像とテキスト・コーパス
幕末以降の外国語教育文献をフルカラーで再現し、文字テキストをコーパス化することで、どのような語彙・文法語法・文学作品・風物等が何年に移入されたかを明らかにする。
国際的に注目される日本人の驚異的な近代化過程を語学的に跡づけることを初めて可能にする。
インターネットで未公開の文献を中心に、ノートや試験問題なども収録し、書誌情報、実写画像、文字テキストデータなどが検索自在となる。

(2)外国語教育文献アーカイヴとコーパスの整備
外国語教育文献は日本人の近代的意識を形成したメディアであり、高い文化史的な価値を有する。
しかし、散逸や劣化が甚だしく、トータルに所蔵する機関も包括的な目録もない。そのため、閲覧が困難であり、研究が立ち遅れている。
本データベースはこの現状を克服し、史料アクセスの迅速化、海外への情報発信に貢献する。

(3)外国語教育研究の質的向上への貢献
わが国外国語教育の質的向上と教育研究の前進に資する。
たとえば、小学校の英語教育は明治初期から実施され200種類を超す教材等が刊行されていたが、省みられないまま再び同じ課題に直面している。
こうした過去の教育史料とコーパスに瞬時にアクセスし、外国語教育の改善のための資産として活用できるようにする。

公開可能なのは著者の没後50年以上のものという著作権の制約で、本ブログで連載してきた英語参考書などは全文公開は難しいでしょうが、著作権の切れた古い資料などはフルテキストで公開したいと思います。

レアな資料をお持ちでしたらお知らせください。(^_^;)

なお、これまで科研費で作成してきたデータベースは以下の通りです。