希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

科研費内定!幕末以降外国語教育文献コーパス画像データベースの構築へ

本日は、大阪大学国語学部での最初の授業。
新しい出会いは楽しいものです。

大阪難波ジュンク堂書店に立ち寄ったので、拙著『受験英語と日本人』を置いてくれてるかな、と探したら「英語科教育」コーナーにも、「英語学」コーナーにもありません。
ちょっと落ち込みかけたのですが、なんと「受験参考書コーナー」にデーンと数十冊置かれていました。

「高校生が買うかよ!」と思いましたが、隣りに旺文社が復刻した赤尾好夫の『英語の綜合的研究』が置かれていたので、懐かしの受験参考書を買いに来たシニアに売ろうという戦略かなと納得。

ちなみに、Amazonでは拙著は「英語学」の部門に。
今日見たら、なんと英語学部門で売上1位になっていました。
子どもの発表会を見る親の思いです。(^_^;)

阪大の授業の日は往復6時間の通勤。
さすがに疲れましたが、家に帰ると朗報が。すーと疲れが抜けました。

2011年度科学研究費補助金の内定通知。
昨年に続いて「幕末以降外国語教育文献コーパス画像データベース」を構築できることが決まったのです。
本年度の助成金は340万円です。

もちろん忙しくなりますが、埋もれている外国語教育資料を大規模にネット上で公開し、世界中の誰もが活用できるようにしたいと思います。

公開可能なのは著者の没後50年以上のものという著作権の制約はありますが、著作権の切れた古い資料などはフルテキストで公開したいと思います。

レアな資料をお持ちでしたらお知らせください。(^_^;)
データベースの概要は以下の通りです。

(1)日本人による外国語摂取の足跡を実証する包括的な教育史料画像とテキスト・コーパス
幕末以降の外国語教育文献をフルカラーで再現し、文字テキストをコーパス化することで、どのような語彙・文法語法・文学作品・風物等が何年に移入されたかを明らかにする。
国際的に注目される日本人の驚異的な近代化過程を語学的に跡づけることを初めて可能にする。
インターネットで未公開の文献を中心に、ノートや試験問題なども収録し、書誌情報、実写画像、文字テキストデータなどが検索自在となる。

(2)外国語教育文献アーカイヴとコーパスの整備
外国語教育文献は日本人の近代的意識を形成したメディアであり、高い文化史的な価値を有する。
しかし、散逸や劣化が甚だしく、トータルに所蔵する機関も包括的な目録もない。そのため、閲覧が困難であり、研究が立ち遅れている。
本データベースはこの現状を克服し、史料アクセスの迅速化、海外への情報発信に貢献する。

(3)外国語教育研究の質的向上への貢献
わが国外国語教育の質的向上と教育研究の前進に資する。
たとえば、小学校の英語教育は明治初期から実施され200種類を超す教材等が刊行されていたが、省みられないまま再び同じ課題に直面している。
こうした過去の教育史料とコーパスに瞬時にアクセスし、外国語教育の改善のための資産として活用できるようにする。

なお、これまで科研費で作成してきたデータベースは以下の通りです。
2010年度に作成したデータベースも順次公開していきます。