希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

教育実習を体験しての後輩へのメッセージ

前回に続き、高校で教育実習をした4回生からの後輩へのメッセージです。

大阪大学国語学部で、2009年度の教科教育法(英語)を受講してくれた学生です。
本人の了解済みで、固有名詞のみ削除しています。

特に、ひたむきな姿勢と、最後のほうの先生方からのメッセージが胸に染みます。

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私は母校の高等学校へ2週間の教育実習へ行ってきました。
HR担当は3年生のクラス、教科である英語の担当は2年生の3クラスでした。

教育実習のやり方は受入れ校の裁量に任されているものなので、一概に「教育実習はこのようなものだ」とは言えません。ここでは私のケースを紹介したいと思います。

実習生は総勢30人いました。期間中は実習生には控え室が与えられ、そこで、朝礼、授業準備、昼食、終礼などを行いました。
実習生の担当する教科・クラス・学年は受入れ校が事前に決めており、それによって、任される授業回数は3回~15回まで様々でした。
公開授業は基本的に1回です。

教科担当の先生には実習日誌の添削から授業準備のアドバイスまで熱心にご指導していただきました。
実習中はわからないことばかりで、何かと教えてもらわなければなりませんでした。
しかし、実習では誰かにやってもらうものではなく、「自分が何を、どうするか」を常に考えることが大切だと思います。

熱心に指導してくださることで支えてくださる先生方への感謝の気持ちを持ち、自分が精一杯の授業をして生徒にいい影響を与えることで恩返しをする心構えが良いと思います。
 
次に、私が実習中にやってよかったと思うことを書きたいと思います。

・120パーセントの力を出し切る!
・寝る間を惜しまない!
・積極的に生徒・先生・実習生と会話する!
・人の意見を素直に受け入れ、真摯な姿勢で自分の意見を言う!
・無難な授業をしない!オリジナリティ溢れる授業をする!

先生方は毎日の授業や授業以外の業務に追われ、毎回の授業を文法や訳をして無難に終えてしまっていることが多いようでした。

そこで、私は自分らしく生徒に伝えたいことを伝える授業にするようにしました。
その伝えたいことが的外れだといけないので、先生方に意見をいただいたり、実習生と意見を共有したりしました。その上で、伝えたいことが伝わるように全力を注ぎました。

私は最近歳をとったなぁ、と痛感していますが、まだまだ2週間無理をしたくらいで体を壊したりはしませんでした。

皆さんも無理をして倒れてはだめですが、いけるとこまで全力を出し切ってみてください。そのために日ごろの体調管理は大切です。

また、自分にしかできないことをやりきって帰ることも大切です。
そう考え、進路選択に役立ててもらえればと、私は高校の後輩たちに大学生の生活や意見を紹介したり、ロシア語を学びたいと申し出てくれた生徒たちにロシア語を教えたりしました。
そのことで、1対多数の授業の中では得られなかった、高校生の声を聞くことができて充実していました。

みなさんも、高校生の声を積極的に聞いてみると、いろいろと面白い反応が帰ってきて楽しいと思いますよ。

一方、実習中は先生方の大変さを知り、驚くことが多くありました。

皆さんも実習に行くとわかるとは思いますが、教えるということがいかに難しいかということ。
そして教員は教えるだけではなく、親への対応や学校運営に関わる手続きなどが多くあること。(ある先生は「授業は教員の仕事の2割」とおっしゃっていました。)そのことで、朝7時半ごろから夜9時や10時まで残って仕事をしていらっしゃる先生方がたくさんいらっしゃることを知りました。

しかし、生徒たちの素直な反応や成長していく姿を見ると大きな喜びを感じ、教員という職業に大きな魅力を感じました。

最後に、実習中に出会った、心に残る言葉を紹介したいと思います。どちらも先生方に言っていただいた言葉です。

・「万人に受け入れられる方法、万人の心に残る話なんてない、クラス40人のうち一人でもその心の中に残るものがあればそれだけで十分だよ。」

→このことで肩の荷が下りました。自分が生徒に伝えたいことを軸にして、自信を持って授業づくりに取り組めました。

・「努力せずに結果が出ると傲りになる。努力して結果が出ると自信になる。努力せずに結果も出ないと後悔が残る。努力して結果が出ないとしても経験が残る。」

→実習中の努力を認めてもらえた瞬間でした。今後もこの言葉を胸に頑張っていこうと思いました。

先生からでも、生徒からでも、実習中には常にアンテナを張っていると、様々な心に染み入る言葉に出会えると思います。

皆さんもその後の人生に影響を与えるような言葉を捕まえてきてください。

皆さんの実習も、努力すればきっとかけがえのない輝いた時間になることを信じています!