希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

協同学習を取り入れた2つの英語授業を比較

協同学習を取り入れた英語授業をどう進めるか。

学生たちの真剣な模索がつづきます。

そうした一環として、10月22日のゼミでは、この分野でのベテランである船津真理先生(貴志川中学校)の授業と、教育実習で協同学習による授業を行った3回生の寺山君の授業とを、それぞれの映像DVDを見ながら相互比較しました。

この企画の提案者は寺山君自身。

プロの授業と自分の実習授業を比較し、ガチンコで勝負するという提案のあっぱれさに感動しました。

詳しくは末尾の La La La 2012念後期第3号をご覧ください。

協同学習と言えば、本日は大阪堺市の中学校をお邪魔し、協同学習を部分的に取り入れた授業を拝見してきました。

生徒たちの信頼が厚い先生で、とても爽やかな授業でした。

私は授業風景を写した写真をスクリーンに提示しながら、主に4点を申し上げました。
(Y指導主事さんもほぼ同じ意見でした。)

① 学びのレベルを高めるほど、生徒たちの反応がよくなり、学びが活性化した。

② 教師の説明が長くなるほど、生徒たちは学ばなくなった。

③ 何のためにその活動をするのかという活動の目標を最初に提示してから、個々の活動(音読、ペアワーク等)をすれば、より学びが深まる。

④ 4人の机を合わせただけでは協同学習にはならない。1人ではできないレベルの課題を課して、協同する必然性を発生させることが大切。

子どもたちは、まるでスポーツカーのように敏感に反応しました。

途中で何人かの生徒が机に突っ伏して学びをやめていましたが、それは教師の説明が長々続いていたときや、わかりきった退屈な活動を強いたときでした。

しかし、最後に自由英作文の課題で隣の人の特徴を英文で書く活動では、机に突っ伏していた生徒も起き上がり、活発に活動に参加していました。
高度な学びにチャレンジするためです。

教師は親切心から、どうしても苦手な子のために課題のレベルを下げたり、噛んで含めるように長々と説明してしまいます。

しかし、そんなときはてきめん、苦手な子も退屈し、学びをやめてしまいます。

できる子も苦手な子も、仲間と共に高度な課題にチャレンジすることで、基礎・基本事項を自ら学び直し、達成感に到達するのです。

そんなことを再確認しながら、堺市をあとにしました。

イメージ 1