原仙作の『英文標準問題精講』(旺文社、1962年改訂版)によれば、当時の大学入試の出典としては、ラッセル(15校)に次いでモーム(12校)が2位となっている。
ちなみに、3位はハックスレー(10校)、4位がリンド(8校)だ。
当時はいかに高度で知的な英文が出ていたかがわかる。
ちなみに、3位はハックスレー(10校)、4位がリンド(8校)だ。
当時はいかに高度で知的な英文が出ていたかがわかる。
モームは1959年に来日し、大歓迎を受けた。
その後、荒牧鉄雄編『モーム慣用句辞典』(大学書林、1966)や納谷友一・榎本常弥著『モームの例文中心 英文法詳解』(日栄社、1970)などのユニークな本が出た。
その後、荒牧鉄雄編『モーム慣用句辞典』(大学書林、1966)や納谷友一・榎本常弥著『モームの例文中心 英文法詳解』(日栄社、1970)などのユニークな本が出た。
後者は受験参考書で、中学用教科書New Prince Readers(開隆堂)の著者としても有名な納谷友一が10年にわたって集めたモームの用例カードから例文を集めたものである。
モームの作品は英文解釈問題のみならず、英作文でも頻繁に出題された。
1957(昭和32)年度の問題をみると、東京医科歯科大学に出た「自分が有名人を知っているぞと他人に話して、自分を偉く見せようというのは、つまり、自分自身が下らぬ人間だという事を証明するにすぎない。」は、モームのThe Summing Up(1935)から採られている。
ちなみに、この問題は1955(昭和30)年度のお茶の水女子大に出た英文和訳問題と同じである。
僕もこの英文を訳した記憶がある。
1957(昭和32)年度の問題をみると、東京医科歯科大学に出た「自分が有名人を知っているぞと他人に話して、自分を偉く見せようというのは、つまり、自分自身が下らぬ人間だという事を証明するにすぎない。」は、モームのThe Summing Up(1935)から採られている。
ちなみに、この問題は1955(昭和30)年度のお茶の水女子大に出た英文和訳問題と同じである。
僕もこの英文を訳した記憶がある。
また、名古屋大学に出た「正直に言って、僕は初めて彼を知った時、彼が常人と異なった人間だなどという印象は少しも受けなかった。だが、今日では彼の偉大さを否定する人間はおそらくあるまい。」は、モームのThe Moon and Sixpence(1919)の書き出しをアレンジしたものである。
いま読むと、「常人と異なった人間」とは、英国諜報機関MI6のスパイだったモーム自身かと思えてくる。
後半の「彼の偉大さを否定する人間はおそらくあるまい」も自分に言い聞かせながら書いたのかな。
このころモームは対ロシア工作で必死だったようだし。
後半の「彼の偉大さを否定する人間はおそらくあるまい」も自分に言い聞かせながら書いたのかな。
このころモームは対ロシア工作で必死だったようだし。
英文から英作文問題を作る。そんな大学教員たちの気持ちは、出題を担当した人ならば痛いほどわかるだろう。
入試問題は100%完璧で当たりまえ。単語1個でも間違えれば「許せん!」とばかりに激しいバッシングにさらされる。
私も入試委員長を経験して、ずいぶん辛さを味わった。
入試問題は100%完璧で当たりまえ。単語1個でも間違えれば「許せん!」とばかりに激しいバッシングにさらされる。
私も入試委員長を経験して、ずいぶん辛さを味わった。
みなさん、受験勉強のときには、
To err is human, to forgive divine. (過ちを犯すは人の常、これを許すのは神の心)
というPopeのありがたい言葉を習ったはずなのに、すぐ忘れる。
To err is human, to forgive divine. (過ちを犯すは人の常、これを許すのは神の心)
というPopeのありがたい言葉を習ったはずなのに、すぐ忘れる。
だから、現実にはこんな感じかな。
To forget is human, to forgive divine. (忘れるのは人の常、これを許すのは神の心)
To forget is human, to forgive divine. (忘れるのは人の常、これを許すのは神の心)
頭韻を踏んでるでしょう。(^_^