希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

京都・舞鶴高専でFD講演会

12月6日、京都の国立舞鶴工業高等専門学校のFD講演会に招かれ、「学生の学びを活性化する協同学習のすすめ」というタイトルでお話しさせていただきました。

僕自身、栃木県の小山高専機械工学科の卒業生であり、三重県鈴鹿高専では英語教師として5年半お世話になりました。両方を足すと、人生の2割以上が「高専」に関わったことになります。

ですので、とても楽しく、どこかなつかしく、舞鶴を訪れました。

お話しした内容は、以下の3点です。

1. 和歌山大学におけるFD活動の紹介

2. 中学・高校(高専)生の英語学力の危機的状況

3. 協同学習による学びの再生のすすめ

僕自身、FD委員長として授業改善の取り組みの旗を振ってきましたから、1のように和歌山大での経験をお話ししたわけです。

2.では、この10年間の新自由主義的な教育政策と、財界主導の会話重視政策のもとで、中学・高校生の英語学力がどれほど危機的な状況に陥ってしまったかを実証的にお話ししました。
このブログでも、何度か取り上げてきたことです。

それをふまえ、メインの3.の話をしました。

スピーチでは言葉を押さえましたが、私は競争主義的で、格差を拡大してしまった新自由主義政策による教育破壊を是正する方法として、協同学習を位置づけています。

一握りのエリートだけを伸ばし、大多数を切り捨てる現行の政策ではなく、全員を伸ばし、良好な人間関係を築きながらお互いを高め合う協同的な学びこそが、戦後民主主義教育の理念を体現するものであり、PISAに代表される新たな学力観にも合致すると確信するからです。

幸い、質疑応答では次々に手が上がり、舞鶴の地で協同学習をめぐって活発な議論が展開されました。
少しでも授業改善に寄与できれば幸いです。

来年3月には、私のふる里、埼玉県熊谷市で協同学習に関するお話しをする機会を与えられました。

仲間と学び合うことの楽しさを、全国に広げたいと思っています。