毎日新聞社が「授業はすべて英語で」などという誤報に対して1月26日付夕刊で訂正記事を出したので、この件はひとまず(あくまで「ひとまず」)一段落させたい。
ただし、問題の根本はまだ解決していない。
その相手は、一新聞社ではない。
ただし、問題の根本はまだ解決していない。
その相手は、一新聞社ではない。
明日は早朝から推薦入試の責任者なので、大急ぎで伊藤和夫の『新英文解釈体系』(1964)について書いておきたい。
この本については、よく「伊藤和夫の処女作」という言い方がされているが、正しくない。
伊藤は1963年に奥幸雄との共著で『構文別英文演習』(南雲堂)を刊行しているからである。
60頁にも満たない小冊子ながら、伊藤の著書としてはこちらが先である。
したがって、僕は『新英文解釈体系』を伊藤の「最初の単著」と書いてきた。
60頁にも満たない小冊子ながら、伊藤の著書としてはこちらが先である。
したがって、僕は『新英文解釈体系』を伊藤の「最初の単著」と書いてきた。
この『新英文解釈体系』を書いたとき、伊藤は東大のアルバイト学生講師時代からそのまま就職した横浜の山手英学院に専任講師(本書の奥付では「英語科主任教授」)として勤務していた。
その山手英学院で事務職員をしていた栃木県のSさんから当時の伊藤の写真をいただいたことは以前述べた。
Sさんは、その後も写真を追加的に送って下さった。
なかには、写真屋さんに頼んで集合写真の中から伊藤だけを僕用に大焼きしてプレゼントしてくださったものもある。
Sさんは、その後も写真を追加的に送って下さった。
なかには、写真屋さんに頼んで集合写真の中から伊藤だけを僕用に大焼きしてプレゼントしてくださったものもある。
これほどのご好意に報いるためには、新著に載せるまで写真を独り占めするのではなく、全国の伊藤ファンのために公開する必要があるのではないかと考えた。
コメントは不要だろうが、僕はこの写真の伊藤の表情が好きだ。
さて、前回お示しした強烈な「序文」に続いて、「略語表」が掲載されている。
主語 S、動詞 Vに始まって、修飾語 M、そして例の目的語や補語を含む第3の要素 Xなどが登場する。
主語 S、動詞 Vに始まって、修飾語 M、そして例の目的語や補語を含む第3の要素 Xなどが登場する。
1977年の『英文解釈教室』(研究社)で修飾語 M、主要語H、同格語Aを、1979年に出た『英文法教室』で第3の要素 Xという記号を見た受験生たちからは賛否両論がわき起こった。いわく付きの記号使用だ。
こうした記号は、『新英文解釈体系』で初めて、意識的に使用されたものである。
前回紹介した「序文」では、「記号の使用によって、文を形態の面から考える力が養われるよう配慮した」と明言されている。
そのため、「目次」の前に目立つように掲げているのである。
前回紹介した「序文」では、「記号の使用によって、文を形態の面から考える力が養われるよう配慮した」と明言されている。
そのため、「目次」の前に目立つように掲げているのである。
本文は全10章。シンプルだ。
『英文解釈教室』が全15章であることと比べると、章立ては3分の2である。
ページ数はほぼ2倍なのに。
両者の構成を比較すると、ある種の欠落に気づくだろう。
なぜ、このような構成にしたのか?
この点が、本書の最大の謎のひとつであり、核心部分でもあり、伊藤が本書を「二度と世に出したくない」と述べたことと関係がありそうだ。
その謎を解いていこう。
(つづく)