希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考える、和歌山大学江利川研究室のブログです。

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(7)

近著『受験英語と日本人:入試問題と参考書からみる英語学習史』(研究社)の2校を編集部に送り、ちょっと一息。

といっても、明日23日までには校正の戻しがあり、最終チェックを経て、24日には印刷にまわすとか。
いよいよ大詰めだ。
索引を入れると、全体で326頁ほどになりそう。
価格が上がるのが心配。英語の先生以外にも幅広く読んでほしいのだが・・・。

さて、そのちょっとの息継ぎの合間に、急いで『新英文解釈体系』の紹介を続けよう。

今回は、第2章 基本要素の拡充(1)

ちょっと学習参考書の章立てとは思えないような哲学的なタイトルだ。
そう、伊藤は第1章で述べた基本要素のS+V+〔X+X〕が、どう拡充していくかを追求していく。

冒頭の「この章の課題」では、「前章ではSとXの位置にくるものを名詞・形容詞にかぎって考えたが、本章ではこのような準動詞(Verbal)がS又はXの位置にくることから生ずる問題と、前置詞+名詞(又は代名詞)の形でXが構成されている場合とを考える」と明確に述べている。

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展開は、【1】主語としての不定詞、【2】主語としての動名詞、【3】S+V+不定、という具合に単純なものから複雑なものへという流れになっている。

ヘーゲル『論理学』では単純な有論から始めて絶対理念へと発展し、マルクス資本論』でも単純な商品から始めて貨幣へ、そして最終的には資本の総過程へと進む。生物進化も同じ。
そうした論理の流れだ。
まさに、英文を哲学している感じ。

それぞれの項目には、ときに10題を超える例題が付いている。そのため、本書は『英文解釈教室』(1977)の約2倍の分厚さとなっている。
この本の執筆のために、伊藤は入試問題をはじめ、どれほどの用例を集めたことだろう。
こうした若き日の努力が、後の『基本英文700選』などにつながっていくのだろう。

第2章の最後は、【11】S+V+X+前置詞句だ。

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豊富な例文を挙げながら、きわめて理路整然と説明している。

圧巻なのは、「この章のまとめ」である。
第1章で述べた基本要素のS+V+〔X+X〕が、どう拡充したかを一覧表で見事に示している。
まさに「体系」の世界だ。

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そうした伊藤の体系的記述は、次の第3章でさらに天才的に展開される。

(つづく)