希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

出色のドキュメントNHK教育「ネットワークでつくる放射能汚染地図」

5月15日(日)午後10時からNHK教育TVで放映された『ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月~』は出色のドキュメンタリーでした。

いつもながら、こうしたドキュメントはNHK総合ではやらず、教育テレビでやるのですね。

本来、東京電力や政府がやるべき東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染状況の調査を、数人の民間人が、自家用車に手製の測定装置を積んで身を挺して実測し、その恐るべき汚染状況をマップにしていくというものです。

なにも知らされない住民たち。住み慣れた家を追われ、家畜や農地を放棄せざるを得ない人々。
エサが届かず、餓死していく数万羽のニワトリたち。
目を覆いたくなるような不条理。あまりにひどい扱いです。

事故直後に現地を訪れた木村真博士は、厚生労働省に勤めていましたが、自主的な放射能調査を禁じられ、厚生労働省に辞表を出して今回の調査を実行したのです。
その真摯な姿勢に感動するとともに、政府、厚生労働省の理不尽さに強い怒りを覚えます。

文部科学省は汚染状況を測定しながら、肝心の地名を隠しているため、避難計画の参考になりません。
なんという役所でしょう!

すごい番組でした。きっと再放送があるでしょう。
ぜったいに視聴されることをお勧めします。

番組の詳細は、以下をご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0515.html

なお、本日の時点でYou Tubeにも7つに分けてアップされています。

<番組概要>
福島原発事故は、周辺地域に未曾有(みぞう)の放射能災害を引き起こした。時間経過とともに拡大する避難エリア。住民たちが自分たちの村や町に、いつになったら帰れるのか、その展望は全く見えない。
いま住民たちが求めているのは、被曝(ひばく)による人体影響と、今後の土壌汚染への対策を、客観的かつ冷静に考えてゆくための基礎となるデータ・放射能汚染地図である。

ETV特集では1954年のビキニ事件以来、放射線観測の第一線に立ち続けてきた元理化学研究所の岡野眞治博士の全面的な協力のもと、元放射線医学研究所の研究官・木村真三博士、京都大学広島大学長崎大学放射線観測、放射線医学を専門とする科学者達のネットワークと連係し、震災の3日後から放射能の測定を始め汚染地図を作成してきた。

観測チームは、周辺地域の土壌、植物、空気中の粒子を採取し放射線量を計測する一方、岡野博士が開発した計測機を自動車に搭載して、福島県内の道路2000キロを走破した。この計測器はビデオで撮った現場映像とともにGPS情報、放射線量、放射性核種のスペクトルを、同時記録してゆくことができる世界唯一の機器であり、チェルノブイリ事故での計測により国際的な評価を得ている。

一方、文部科学省福島県IAEAアメリカエネルギー省も、独自に汚染の計測を進めており、その結果が公表され始めている。これらのデータと、独自収集データをつきあわせることで、原発周辺地域のきめ細かい土壌汚染のマッピングが可能になる。

番組は、放射能汚染地図を作成してゆくプロセスを追いながら、原発災害から避難する人々、故郷に残る人々、それぞれの混乱と苦悩をみつめた2か月の記録である。