希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

教員採用試験合格体験記(3)

江利川ゼミ4回生 永田眞也(大阪府中学校英語科合格)

<1次試験翌日~1次合格発表~2次・筆記試験、実技試験まで>

(1)翌日~1次合格発表
 筆答試験の翌日には、どこぞの予備校なり何なりで筆答試験の答え合わせが行われていたが、そんな都市部にわざわざ行くのは交通費がかかるしメンドクサイ。 
 私の場合は、2日後くらいに、ネットの掲示板(いわゆる「2ちゃんねる」。「大阪府 教員採用試験」といったキーワードで検索すればヒットするはず)で見つけていた教員採用試験の掲示板(スレッド)があったからそこで答え合わせをした。
 ネットの世界に縁が乏しい人は、一度覗いて、そんな世界もあるということを知る機会としてみてはどうだろうか。

(2)1次合格発表~2次・筆記試験、実技試験
 正直に言うと、2次の勉強は1次合格発表まで殆どしていなかった。
 1次試験が終わった開放感がかなり尾を引いていた。良い子はすぐに切り替えてね!1次合格発表で番号があってから、あと10日で2次試験じゃないか!と焦って2次の勉強をし始めた感じ。
 過去問をしてみると、わからない単語がたくさん出てきた。語彙力を高めるところから始めないといけなかった。良い子はしっかり英語を読んでね!

 実技に関しては偉大な江利川師に時間を頂戴して模擬面接を行った。英語でのディスカッションが実技試験のひとつにあったからだ。
 日本語の面接でもそうだが、英語でも、自分の言いたいことを最初に言うということが大切になってくる。主観であるが、簡単に言うと、“So”や“Therefore”よりも“Because”が多く出るのが良いのではないだろうか。

<2次・筆記試験(午前)、実技試験(午後)当日>

 [筆記試験] 完全記述式。英作文あり。試験時間(確か)100分。うち20分弱は実技試験
のListeningが含まれる。

 大問数が今年は7問ほどあり、これは例年に比べて多くなっていた。
 この筆記試験で大切なことは時間配分である。配分の仕方は個々人の自由であるが、ひとつのやり方としては、最初に最後の大問である英作文のテーマを読み、出題内容を確認する。
 その後、初めに戻り、中文~長文読解と難易度の上がっていく大問を順に解きながら、英作文での自分の考えを練り上げていき、最後に一気に英作文を仕上げる。時間が余れば見直しにかかる、というものがある。
 が、私は時間配分を大幅に失敗し、英作文に40分も費やしてしまった。
 結果、大問5と6はほぼ手つかずの状態で試験時間を終えてしまったのである。
 良い子はしっかり時間を見ようね!

 試験の途中でListeningの時間が入り、アナウンスが流れる。指示に従いつつ約6問の4択問題に答える。問題は全て英語で述べられ、凡そ中文程度の英文が読まれたあとに、問題に沿って解答するというパターンである。
 英語音声が流れている間はメモを取ってもかまわないが、問題用紙に解答欄があるので、1次試験のように問題用紙が手元に残ることはない。
 正直、後で答え合わせができない分、タチが悪いぞ。

[実技試験] Listening(既述), Speaking, Group discussion

 5人1組でグループになり、試験室前へ案内される。そこで縦に一列(前ならえをしてそのまま座る感じ)に座って待機。ここからの指示は全て英語となる。

(1)Speaking 黙読1分、音読2分。
 受験番号の若い順に、一人ずつ試験室へ入るよう呼ばれる。試験官は日本人2名、ネイティブ1名で構成され、指示は殆どネイティブの人が出す。すでに英語力が問われているのである。
 まず立った状態で受験番号と名前を言う(日本語だったか英語だったか忘れた)。
 その後、指示に従って着席する。机にはA4サイズのカードが置かれており、裏返すと、300~400語程度(目算)の長文が書かれている。その内容は理科や科学に関するものが殆どである。
 私の時は恐竜に関係した文章で、「中生代の」という意味の“Mesozoic”という単語が出ていた。これは、恐らくではあるが、純粋な発音や流暢さを見るために、全くわからない専門用語を出していると思われる。言語や文化に関する文章だと、受験者が知っている単語が多いためであろう。
 ただし、そうした専門用語には、隅にその発音が発音記号で書かれており、これを頼りにして発音することができる。

 指示に従って、この文章をまず1分間で黙読する。この間に発音や文の切れ目などを確認するのである。
 その後、2分間で音読を続ける。2分経過すると試験官が止めるよう指示をするので、すぐに音読を止めて、カードを裏返して机の上に置き、退室してまた廊下で座って待機する。
 グループの5人全員がSpeakingを終えた後、Group discussionに移行する。

(2)Group discussion与えられたテーマに沿って5人で英語で討論する。
 時間は5+約25分。

 まず5人は受験番号の若い順にMr./Ms. A~Eの仮名を持つ。つまり討論中の5人の名はそれぞれA~Eとなる。AとEが向かい合うよう座っており、それを基準に半円を描くようにして机が並んでいるので、お互いの顔が見える。受験者はまずA4サイズのカードを渡され、そこに書いてある討論のテーマと、そのテーマに関する予備知識や背景、討論の進め方などを5分間で読み取り、自分の主張を練り上げる。
 その際、カードにメモを書き込んでもよい。(私は最初の組だったのでサラの状態から書き込んだが、2組目以降はその書き込みがあるカードを読むことになる。)
 5分経過後、順番にテーマに基づいた自分の主張を1分程度で述べる(もちろん英語で)。
 それぞれの主張を聞いて、疑問点やわからない点が浮かんだ場合、その相手を指名して質問をする時間が少し設けられる。
 その後は、自由討論という形で、ネイティブの試験官がテーマに沿った細かい項目を議題にあげるので、それについて5人で自由に討論する。きりのいいところで試験官が議題を変えるなど指示を出す。
 最後には、発言数の少なかった人に最後の主張の機会を与える場面があった。
 その後は退室し、廊下に立っている試験官に「○番の試験室、実技試験終了しました」という終了報告を以て、実技試験の完了となる。指示に従って、静かに会場を出る。

 私のグループに与えられたテーマは「評価(evaluation)について」であった。正直、テーマとして難しすぎるだろうと思ったが、やるしかなかった。5分間、必死でカードを読んだが、正直何を書いているのか半分くらいはちんぷんかんぷんだった(だめじゃん)。とりあえず流れを確認して、1分間の主張で評価の観点が変わってきたことと生徒自身での評価という観点が挙げられるということを述べておいた。
 その後の自由討論になって、4技能別に評価をどうするか、という議題になった。
 聞く・読む・書く・話す、の各技能に於いて、どう評価しますか?と問われて、ある程度自由に、トライアングルディスカッションなどの実践例をあげたり、協同学習に於ける評価について触れたりしながら話したが、気がつけば、A、C(私)、Dの3人しか主に発言していなかった。これはまずいと思って発言を適度に控えたが、Aの発言が止まらずに長引き、ネイティブの人が「コイツ、マジかよ…」と言いたそうなリアクションをしていたのが印象に残っている。
 結局そのAの人は落ちたようだ。つまり、発言は適度に、的確に!ということである。言うは易し、行うは難しだが。

(つづく)