7月22日(日)に大阪大学で開催された第3回英語教育総合学会は,参加者124名という昨年7月の117名を越える盛会となりました。
ハンドアウトが足りなくなったり,椅子が足りなくなったりと嬉しい悲鳴でした。
僕は「やる気にさせる協同学習」というテーマでお話ししましたが,質疑応答が15分にも及び,皆さんの熱意と関心の高さを痛感しました。
さて,その7月22日の本ブログへの書き込みに,以下のコメントがありました。
「高校でも、現場とかけ離れたところで、いろいろなことが決まって、進学実績を伸ばせ、英語で授業もせよ、という要望に応えなくてはいけない、現場は大変です。」
まったくです。
この「現場とかけ離れたところで、いろいろなことが決まって」に関して,どれほどの教師が不満を抱いているかを客観的に示すデータをご紹介します。
2011年4月26日,ベネッセ教育研究開発センターが「学習指導基本調査(高校版)」を発表しました。
調査は2010年8~9月に実施され,全国の公立高校の校長・教員5,621人から回答がありました。
それによれば,教員の悩みの第1位は,なんと,「教育行政が学校現場の状況を把握していない」で,実に79%,つまり約8割に達しました。
以下は次の通りです。
「作成しなければならない事務書類が多い」72%
「教材準備の時間が十分にとれない」65%
「休日出勤や残業が多い」62%の順。
新学習指導要領での「授業は英語で行う」をはじめとして,現場の眼には,実情を無視した上からの教育改革が教員の過密労働を招き,教材や生徒たちと向き合う時間を奪っていると映っているのです。
現場との意思疎通を欠いて,どんな「教育改革」ができるでしょうか。
「授業は英語で」も必ず失敗します。
そのとき,誰が責任を取るのでしょうか。
無謀な方針を押しつけて失敗し,その失敗を教師バッシングに利用することだけは許さないようにしましょう。