希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

協同学習に対する大学生の肯定的評価

2012年度前期の授業が終わり,反省的に振り返る時期となりました。

私が担当する和歌山大学教育学部「中等英語科教育法A」では,今回もすべて協同学習を取り入れた授業を行いました。
協同学習とは,少人数グループにより学び合い,高め合う授業形態です。

受講生は28名で,大半が2回生です。
これを5つのグループに分けていますので,1グループ5~6人です。

協同学習では4人グループが一般的ですが,大学の私の授業ではグループ単位で模擬授業やディベートなども行うため,少し人数を増やしています。

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最終日はディベートで,テーマは「高校の英語の授業は『英語で行うことを基本とする』は是か非か」というものでした。

このディベート自体,たいへんエキサイティングで面白かったのですが,ここでは授業の最後に書いてもらった「協同学習についてのアンケート」の結果をご紹介しましょう。

実施日は2012年7月27日(金),回答者は28人,出席率・回収率はともに100%です。

1. グループでの授業は楽しかった。

 A そう思う   85.7%   
 B ややそう思う 14.3%  
 C あまり思わない  0%   
 D 思わない     0%

2. グループでの授業は効果的だ。

 A そう思う    89.3%
B ややそう思う 10.7%  
C あまり思わない  0%   
D 思わない     0%

3. グループ内で十分協力できた。

 A そう思う   71.5%
 B ややそう思う 21.4%  
 C あまり思わない 7.1%  
 D 思わない   0%

4. グループでの協同学習よりも、一人で勉強した方がためになると思う。

 A そう思う      3.5%
 B ややそう思う  10.7% 
 C あまり思わない 75.1%   
 D 思わない    10.7%

5. グループによる協同学習について、良いところ、改善すべきところなどを自由に書いて下さい。
(自由記述欄)

【考 察】

学生たちはグループによる協同学習に対して,たいへん肯定的です。

1.「グループでの授業は楽しかった」に対しては,なんと全員が「そう思う」「ややそう思う」と回答しています。

2.「グループでの授業は効果的だ」に対しても,これまた全員が「そう思う」「ややそう思う」と回答しています。

主観的なアンケートですから割り引いて考える必要があるにしても,受講者の全員が楽しくて,しかも効果的であると認識しているのですから,かなりオススメの授業法だと言えるでしょう。

授業の性格上,簡単には学力の伸びが検証できないのですが,指導案の作成,模擬授業,ディベートなど,かなりハードな課題を課しているにもかかわらず肯定的に評価しているのです。

やや課題があるのが,3の「グループ内で十分協力できた」です。

「そう思う」は71.5%で,「楽しかった」「効果的だ」が85%以上だったことと比べると,低い数字になっています。

十分協力できたとは「あまり思わない」が2人(7.1%)います。
若干ではありますが,協力的でなかった人がいたということでしょう。

今後は,さらに役割分担を明確にし,チームビルディングの活動を強めるなどすることで,十分な協力体制を築きたいと思っています(ただし,やり過ぎはよくありませんが)。

最後の4.「グループでの協同学習よりも、一人で勉強した方がためになると思う」に対しては,「あまり思わない」「思わない」が85.8%で,やはり一人よりも協同の方がよいと思っている学生が圧倒的に多いことを示しています。

ただし,人間の認知特性や学習スタイルは多様ですから,一人で考える時間も大切にしたいと思っています。

5の自由記述欄については,また機会をみてご紹介したいと思います。