で、本日18日は日本英語教育史学会の論文審査委員会と研究例会です。
微妙に時間が空いたので、東京神田のホテルでこの記事を書いています。
日本人はどうやって英単語を学んできたのか。
そこには壮絶なドラマがありました。
さわりの部分だけちょっと書きます。
文字体系も発音も日本語とまったく異なり、しかも日常的に使う必要がほとんどない英単語。
それをどう覚えるか?
書くのです。ひたすら書いて、覚えて、忘れてはまた書いて覚えるのです。
下の写真は幕末~明治初期と思われる毛筆書きの英単語帳。
ABC順になっており、辞書がきわめて高価で数少なかったこの時代、自分で「My辞書」を作っていたようです。
ABC順になっており、辞書がきわめて高価で数少なかったこの時代、自分で「My辞書」を作っていたようです。
続いて、1940年代の商業学校生徒の英単語帳。
書いています。ひたすら、書いて覚えようとしています。
けなげな少年の顔が浮かぶようです。
この生徒が、戦争で命を落とさなかったことを祈ります。
けなげな少年の顔が浮かぶようです。
この生徒が、戦争で命を落とさなかったことを祈ります。
下の写真は、僕が神戸の予備校で教えていたときの生徒が使った(というよりは、使いつぶした)英単語帳です。
彼は、本当に努力家でした。
戦前も英語の音声指導に力を入れていました。
下のレコードは「書取」つまりdictation用の教材です。
旧制高校などの入試にもdictationが出されていましたから、こうして音声を聴きながら英語を綴ったのでした。
明治末期からは英単語カードも発売されていました。
表が英語で、裏が和訳と例文。
ちなみに、日本人は絵を使って単語を覚えるのが好きなようで、そうした「絵単語」本は明治初期からありました。
いつかまた紹介しましょう。
いつかまた紹介しましょう。
日本人はなぜこうまで必死に英単語を覚えるのか。
やはり「受験があるから」という側面を無視しては空論になるでしょう。
単語がABC順に排列されているのは一般の辞書と同じですが、どこの大学の入試問題に、どのような形式で出題されたのかがびっしりと掲載されている、入試英単語の一大データベースです。
たかが単語、されど単語。
いまもむかしも、英語学習の土台作りは、コツコツと単語を覚えていく「努力」だったのです。