徹底した取材をもとに、核心を突いた「読ませる」記事・論説を書くことで定評がある。
まず、「自民党の教育再生実行本部と経済同友会が「実用的な英語力を問う試験」と位置づけ、大学入試に導入するよう相次いで提言したからだ。/まさかと思った。こんな難しいものを受験生に課すとは。/これが自民党や同友会が考える「実用的な英語力」なのか。」
と問いかける。
と問いかける。
そうして、私たち「4人組」の活動を紹介している。
以下のような内容だ。
*なお、紙媒体の新聞版では誌面の都合で斎藤さんと江利川の発言が省略(業界用語で「預かり」)されているので、電子版から完全版の方を引用したい。
以下のような内容だ。
*なお、紙媒体の新聞版では誌面の都合で斎藤さんと江利川の発言が省略(業界用語で「預かり」)されているので、電子版から完全版の方を引用したい。
「提言は英語教育界をゆるがし、4人の大学教授が反対に立ち上がった。明海大の大津由紀雄(65)、立教大の鳥飼玖美子(67)、東京大の斎藤兆史(55)、和歌山大の江利川春雄(57)。いずれも英語教育界ではカリスマ的な存在だ。/4人の合同講演会は満席。緊急出版の共著「英語教育、迫り来る破綻(はたん)」は増刷を重ねた。」
「大津は「そもそも留学のためのTOEFLと大学入試は目的が違う。なぜ現場と合わない改革を求めるのか」という。斎藤は「生徒の英語力を上げたいのなら、授業時間増と少人数化が先だ」。江利川は「今でも授業についていけず英語嫌いが増えているのに、こんな難解なテストを課したらさらに増える」。そして鳥飼は「学校は企業のために生徒を育てているわけではない」と話す。」
「英語教育界ではカリスマ的な存在」というのは、なんともくすぐったいが、ありがたくお言葉を頂戴し、がんばろうと思う。
圧巻なのは、次の展開。
「鳥飼の発言が気になり、同友会の提言書を読み返してみた。/「日本企業はグローバルな競争で戦える人材獲得に悩まされ」で始まり、「要因の一つは、日本人の低い語学力(英語)にある」と続く。」
「失礼ながら、海外でのビジネスがうまくいかないのは英語教育が悪いから、と他人のせいにしているようにも読める。/自民党や同友会のみなさんが批判する昔の「文法・読解」中心の英語教育を受けた人たちが、メード・イン・ジャパンを世界に売りまくり、高度成長を実現したのではなかったか。」
実に見事な切り返しだ。
さすが。
さすが。
チクリと痛いところを突くことも忘れない。
「「実用的な英語力」を求めながら、この提案は実用的ではなかったようだ。反対の合唱の前に、TOEFL熱は冷めたようにみえる。自民党の提言は「大学入試への活用の推進」に後退し、同友会は「提言を出したあとは、特段の論議はしていない」という。」
「ついでにひと言。学校英語は20年ほど前に「コミュニケーション重視」にかじをきった。もし経営者のみなさんが「うちの若手の英語は使えない」と思っているとしたら、彼らは「話す・聞く」重視の教育を受けた人たちのはずなのだが。」
なお、毎回掲載される教材の写真は、本文と直接関係ないものもあるが、あえてそうしている。
実は、この写真を眺めるだけで、日本の英語教育史の節目節目がわかるようになっているのである。
実は、この写真を眺めるだけで、日本の英語教育史の節目節目がわかるようになっているのである。
刀祢館さんは、掲載したい教材等を自ら指定してこられ、その写真撮影のためだけに和歌山大学まで出向いてくるような人。
その真剣さが、文章にもよく出ている。
連載は全部で9回ないし10回の予定。
乞うご期待。