希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

『英語教育、迫り来る破綻』の完成間近!

「大学入試にTOEFL等」などという自民党、政府のトンデモ方針に怒った私たち4人組(大津由紀雄・江利川春雄・斎藤兆史・鳥飼玖美子)による反論と対案の書『英語教育、迫り来る破綻』が、本日、校了となりました。ふー。

順調に進めば、6月末には、ブックレットとして東京のひつじ書房から発売される予定です。

『英語教育、迫り来る破綻』の表紙のレイアウトは、こんな感じです。

イメージ 1

危機に瀕する学校の英語教育を守るために立ち上がった4匹のひつじたちが、悪しき改革案に立ち向かうというコンセプトです。

よく見ると、ひつじたちは私たち4人組の顔をしているのですよ。(^_^;)
ちょっと笑えるでしょう!

目次は以下の通りです。

まえがき  iii

「大学入試にTOEFL 等」という人災から子どもを守るために(江利川春雄) 1

もう一度英語教育の原点に立ち返る(斎藤兆史) 29

英語教育政策はなぜ間違うのか 認知科学・学習科学の視点から(大津由紀雄) 51
 【補論】 小学校英語の教科化(大津由紀雄)   73

英語コミュニケーション能力は測れるか(鳥飼玖美子) 83

座談会「英語教育、迫り来る破綻」  117

英語教育政策年表  160

4人組獅子奮迅録  164

あとがき  167

著者紹介  171

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このうち、「4人組獅子奮迅録」って何だ? と思われるでしょう。

詳しくは、本書をご覧になってほしいのですが、要は「大学入試にTOEFL等」などという自民党・政府提案に対して、私たち4人が新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、自著などを通して、この4月~6月の間にどれほど果敢に闘ったかという涙ぐましい記録なのです。

まさに「平成の英語教育大論争」の獅子奮迅の軌跡(「ひつじ奮迅」というツッコミもありましたが)。

時系列的に並べてみると、新学期の慌ただしい時季にもかかわらず、よく頑張ったでしょう。
ほんと、忙しかったですよ! マジで。

ちょっとだけ、紹介しましょう。

○ 4月3日 TBSラジオ荻上チキのSession 22「英語の早期教育(バトルモード)」
 大津由紀雄遠藤利明衆議院議員自民党教育再生実行本部本部長と対談。
○ 4月15日 東京新聞「英語教育 またNG? 得点と会話力 別物 大学受験にTOEFL 自民提言」で大津由紀雄の批判的なコメントを紹介。

○ 4月22日 『月刊日本』5月号の「【月刊日本論壇】英語教育」で、鳥飼玖美子が遠藤利明衆議院議員自民党教育再生実行本部本部長と誌上討論。 http://gekkan-nippon.com/?m=201304

○ 4月22日 この日発売の『教養の力――東大駒場で学ぶこと』(集英社新書)で、斎藤兆史が日本の英語教育における成果主義・数値主義を批判。

○ 5月1日 朝日新聞 「争論 大学入試にTOEFL
 遠藤利明衆議院議員と江利川春雄が紙上ディベート
 http://e-toshiaki.jp/blogs/1601

○ 5月1日 J-CASTニュースが同日の朝日新聞の紙上論争(遠藤・江利川)を取り上げて論評。「大学入試にTOEFL導入、自民旗振り役が『受けても10点』と居直る ネットで『この議員、あまりにもアホすぎるw』」
 http://www.j-cast.com/2013/05/01174324.html?p=all

○ 5月17日 関西テレビの「スーパーニュースアンカー」の特集「金曜日のギモン!? 子どもの英語教育どうしたらいいの?」に江利川春雄が登場し、エリートに特化した英語教育政策と、小学校英語の問題点についてコメント。
 http://www.ktv.co.jp/anchor/today/2013_05_17.html

○ 5月20日 中日新聞教育面 特集「高校で英語による授業開始ー実用的な力に重点」で、鳥飼玖美子の「文法など基礎が大切」というインタビュー記事掲載。

○ 5月24日 NHK総合テレビおはよう日本」の「けさの知りたい」で、斎藤兆史福沢諭吉新渡戸稲造野口英世の英語学習法を紹介。多読・音読・暗誦で基礎を固め、自分なりの工夫をすることを推奨。

○ 5月28日 NHKラジオ第一放送「私も一言 夕方ニュース 英語教育見直し グローバル人材は育つのか?」で鳥飼玖美子がNHK解説委員の園田氏との電話による対話

○ 5月28日 TBSラジオ荒川強啓デイ・キャッチ」に大津由紀雄が電話インタビューで出演。小学校英語の教科化についての反対意見を述べる。

○ 5月28日 毎日新聞小学校英語:先行導入校では効果 指導体制など課題も」に大津由紀雄の批判的コメントが掲載される。

○ 5月28日 TBSテレビ「Nスタ」の取材に大津由紀雄が応じ、同番組で「小学校英語の教科化は英語嫌いを増やすだけである」との発言が紹介される。

○ 5月31日 『週刊朝日』が「池田教授の机上の放論」で5月1日の朝日新聞の紙上論争(遠藤・江利川)を取り上げ、「大学受験にTOEFL導入の茶番を笑う」と自民党提言を酷評。
 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130523-00000002-sasahi-soci

○ 6月4日 毎日新聞「発信箱:語学力より大切なこと」小国綾子(夕刊編集部)
グローバルな人材育成のための英語教育論に対する鳥飼玖美子の主張を紹介。

○ 6月12日 大修館書店『英語教育』7月号 Forum 欄が、江利川春雄の「『大学入試にTOEFL』の危険性」を掲載。

ね。けっこう頑張ったでしょう。

今後も、以下の予定が決まっています。

○ 6月20日 『教師力向上マガジン キンジロー』Vol.15(2013夏号)の記事「教育再生実行本部の提言『大学入試にTOEFL』で波紋!」が江利川春雄の批判意見を紹介。

○ 6月21日 北海道新聞「各自核論」欄が鳥飼玖美子の「英語教育、慢性 改革病とグローバル化症候群に苦しむ」を掲載予定。

○ 7月初旬の『News Week 日本版』がTOEFL関連の特集で、斎藤兆史と江利川春雄のコメントを掲載予定。

マスコミのみなさんも、その多くが私たちの批判を好意的に取り上げてくれました。

そうした中で、「大学入試にTOEFL」という方針は、政府の教育再生実行会議の内部でも批判が出るなど、かなり後退してきたよう思えます。

もちろん、決して油断はできませんし、小学校英語の教科化や、中学校の英語の授業は英語でなど、新たな危険な政策も打ち出されています。

しかし、私たちは声を上げ続け、子どもたちが外国語を学ぶ面白さと喜びを味わえるよう、自前の英語教育改革案を提示していきたいと考えています。

なお、7月14日の東京での4人組講演会「英語教育、迫り来る破綻」の申し込みがまもなく定員に達します。
参加予定で、申し込みがまだのかたは大至急申し込むことをお勧めいたします。