1号館 10215室〔1215セミナー室〕
参 加 費: 無料
英語教育史入門セミナー(第2回)
学校史研究・人物史研究のおもしろさ
河村 和也(東京電機大学)
いわば「閉じた」ものと思われる学校史が,時に「開く」ことがあります。書かれていないことへの興味・関心や人と人のつながりなどが,思いもよらぬ力となるようです。また,人物の評価というものは,誰が,いつ,どのような視点から語ったのかによってさまざまに変化するものです。思い込みを捨て,読み違いをなくすことによって,その実像に迫りたいものです。これまで,わずかながら学校史や人物史の調査をしてきましたが,「こんなことがおもしろい」とか「これだからやめられない」という経験を「ここはうっかりすると落とし穴だ」ということも含めてお話ししたいと思います。
研究発表
明治期~現代の代表的英語教科書9種のリーダビリティ分析:
Ozasa-Fukui Year Level, Ver. 3.4.2nhnc1-5による分析
Ozasa-Fukui Year Level, Ver. 3.4.2nhnc1-5による分析
本研究は,明治期から現代において使用された英語教科書の英文難易度(リーダビリティ)を,新開発指標を用いて新たに測定し,比較検討したものである。分析された教科書は以下の9セット(45巻)である。(1)Sanders’ Union Readers(C. W. Sanders, 1861-63),(2)New National Readers(C. J. Barnes, 1883-84),(3)English Readers: The High School Series(W. Dening, 1887),(4)『正則文部省英語読本』 (文部省, 1889),(5)The Globe Readers(岡倉由三郎, 1907),(6)The Standard English Readers(H. E. Palmer, 1926-27),(7)The Standard English Readers(竹原常太, 1932),(8)New Jack and Betty: English Step by Step (1,2,3)(萩原恭平ほか, 1952),New High School English (1,2)(萩原恭平ほか, 1952),(9)Sunshine English Course (1,2,3)(島岡丘ほか, 1996),Sunshine English Course (1,2)(土屋澄男ほか, 1997)。
分析で使用された分析ソフトは,新学習指導要領のデータに準拠して新たに開発された指標・ソフト,Ozasa-Fukui Year Level, Ver. 3.4.2nhnc1-5である。このソフトを用いることにより,分析対象の教科書英文を日本の教科書の学年との関係で数値化することができ,日本の教育システムとの直接的比較が可能となった。
前回の比較(『英語教科書の歴史的研究』辞游社)ではFlesch-Kincaid Grade Levelというアメリカの学校教育用尺度を使用した。これは第3者の尺度で客観的な比較はできたが,日本の現行制度との関係は知ることができなかった。今回は現行制度に基づいた尺度であるOzasa-Fukui Year Levelを用いたためそれが可能となった。これが今回の測定の最大の特徴であり,利点である。発表では9種の教科書の英文の難易度を現行教科書の視点から細かく分析し,歴史的英語教科書9種の実像に迫りたい。
メール:reikai[@]hiset.jp 電話:03-5284-5641
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