「戦争に影響した外国語教育」というタイトルです。
書評者は明記されていませんが、深く感謝申し上げます。
一部を紹介します。
「本書はアジア・太平洋戦争における軍事戦略の失敗と、軍部の外国語教育の問題を関係づけて論じた異色の歴史研究であり、教育論である。」
「著者が日本軍の外国語教育の問題点として挙げるのが①一部の士官養成学校では日中戦争まで独・仏・露語が優先され、英語教育の導入が遅れたこと②戦場になった中国・韓国などの言語が軽んじられたこと③外国語教育が諜報活動と結びついていなかったことーーの3点だ。」
米軍の日本語教育強化策とは反対に、「日本では士官を速成するために英語教育を縮小したが、それが情報戦に敗れる要因となった。軍部の無謀な戦争遂行の背景に、外国語教育の軽視があったという見方には説得力がある。」
「日本軍の失敗を考えると、現代の英語一辺倒主義は危ういとも著者はいう。外国語教育が一つの言語に固定されると、情勢の転換に対応できないからだ。国際協調と平和のために、日本人はアジアの諸言語への関心をもっと高めるべきだという指摘も重い。」
以上の概要のように、実に的確に本書の概要と主張を捉えてくださっています。
ありがとうございました。