希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

協同的な授業力を鍛える

今週は大阪府の2つの中学校を訪問しました。

9日(月)は、2年前からお邪魔している学校で、協同学習がだいぶ定着してきました。

今回は英語の公開授業を拝見しました。

グループで英語のスキット(寸劇)を行う活動です。

最初から最後まで協同学習での学び合い・高め合いで、誰一人として学びから離れる生徒はいませんでした。

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授業者は若い先生で、昨年拝見したときよりも格段に協同的な学びについての授業デザイン力が向上しており、1年でこれほど成長するものなのかと感嘆しました。

何よりも嬉しかったのは、生徒たちの表情です。

大勢の参観者の中でもまったくものおじせず、笑顔があふれ、お互いに磨き合いながら、英語でのプレゼンテーションというジャンプ課題に挑戦していました。

次に、11日(水)は、いわゆる「荒れ」た状態を、なんとか授業改革で変えていきたいとの校長・教頭先生からのお招きで訪問した初めての学校です。

5限目に、1年生から3年生までのすべての授業を見学。

ほとんどが教師主導の一斉型授業で、それぞれの先生には力量はあるものの、多くの生徒たちは授業に集中している状況ではありませんでした。

机に突っ伏す子、教室を出入りする子、立って窓の外を見ている子、私語が止まらない子・・・

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各廊下の隅では、先生たちが見張り番をしています。
脱走させないためです。

そのなかで、まるで別の学校のように学びに集中しているクラスがありました。

協同学習による英語の授業です。

うち、一人の教員は、なんと和歌山大学での僕の受講生。
久しぶりの再会に、また見事な授業展開に、嬉しくなりました。

6限目の研究授業(公民)は、協同学習を取り入れた陪審員制度に関するもので、犯罪事実を検討して、仲間と判決を考えさせるというジャンプ課題を盛り込んだ内容でした。

希望の光が見えました。

その後の講演では、この素晴らしい授業実践をふまえて、私は協同学習を取り入れた授業改革を核にして、学校を変えようと呼びかけました。

嬉しかったのは、その後、若手の先生たちが校長室に来てくれて、協同学習の進め方について熱心に質問してくれたことです。

結局、午後7時まで熱く語り合い、授業改革を頑張ろうと確認し合って学校を後にしました。

きっと変わります。
次回の訪問が楽しみです。

さて、学校を訪問して痛感するのは、教師教育の重要性です。

大学の教科教育法で一斉授業のやり方しか教えなければ、学校に赴任しても一斉型しかできません。

しかし、一斉型で子どもたちが学ぶ時代ではありません。

スマホの方がはるかに情報量が多く、楽しいですから、授業はスマホの魅力を超えなければならないのです。

スマホにぜったいできないのは、人間同士の直接的な、そして温かな関わり合いです。
お互いがケアし合い、認め合い、学び合い、高め合う。

単なるアクティブラーニングではありません。

協同学習が大事なのです。

ということで、ゼミ生たちの協同的な授業力をビシビシ鍛えます。

島崎君のゼミ報告をご覧ください。

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