学力問題の本質は学びの「質」である。フィンランドの教育改革の成功の鍵は「質(quality)」と「平等(equality)」の同時追求にあった。
佐藤学氏(東大)のこの言葉に深く共感する。
この本には「学びの共同体」創り(協同学習)による授業改善の最新の成果が凝縮されている。
Less is more.(少ない量で豊かに学ぶ)
これが学力研究の最新の結論である。フィンランドをはじめ、学力上位の国の多くは日本よりも授業時間が少ない。その代わりに、教師の質、学びの質、教育内容と教材の質を高めることで成果をあげている。
これが学力研究の最新の結論である。フィンランドをはじめ、学力上位の国の多くは日本よりも授業時間が少ない。その代わりに、教師の質、学びの質、教育内容と教材の質を高めることで成果をあげている。
ところが、日本の新学習指導要領は授業時間を増やし、競争と強制で子どもの「学びからの逃走」に拍車を掛けようとしている。
「授業時数の確保」を至上命令として、教師からゆとりを奪い、授業の質を低下させようとしている。
まったく時代の逆行しているのである。
「授業時数の確保」を至上命令として、教師からゆとりを奪い、授業の質を低下させようとしている。
まったく時代の逆行しているのである。
したがって、本書の副題にあるように、われわれの課題は「新学習指導要領を超えて」いくことである。
そのための具体的な方策とヒントが、本書には収められている。
圧巻は、佐藤学氏の序論「新学習指導要領を超える授業実践の創造」(pp.11-18)である。
同附属小で行われた講演を文字化したものだが、新学習指導要領の原理的・本質的な欠陥と、その代案をこれほど鋭く指摘した文章を私は他に知らない。
同附属小で行われた講演を文字化したものだが、新学習指導要領の原理的・本質的な欠陥と、その代案をこれほど鋭く指摘した文章を私は他に知らない。
私は昨年、この佐藤氏の講演をじかに聴いた。文字どおり前身を耳にし、メモをとり続け、レジュメが真っ黒になったことを覚えている。
その感動の講演が活字になったことは嬉しい。
その感動の講演が活字になったことは嬉しい。
6章の「プロジェクト型学習のデザイン」には、外国語活動の実践も収められている。
辻伸幸教諭による、オーストラリアの小学校とビデオレターによる国際交流を続ける小学校3年生の卓越した実践は示唆に富み、感動的である。
辻伸幸教諭による、オーストラリアの小学校とビデオレターによる国際交流を続ける小学校3年生の卓越した実践は示唆に富み、感動的である。
辻氏はこう述べている。
「英語を使ってプロジェクトを達成するという明確な目的が、創造的なアイディアを生み出し、主体的な学習へとつながっていく。英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ。子どもたちは、何を学ぶのか。それは、コミュニケーション能力の素地であろう。相手を理解しようとする心をもち、工夫して伝えようとする姿勢とも言えよう。」
「英語を使ってプロジェクトを達成するという明確な目的が、創造的なアイディアを生み出し、主体的な学習へとつながっていく。英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ。子どもたちは、何を学ぶのか。それは、コミュニケーション能力の素地であろう。相手を理解しようとする心をもち、工夫して伝えようとする姿勢とも言えよう。」
絶望的な新学習指導要領を超えていく実践の先には、希望がはっきり見える。