若林俊輔先生の論文集『英語は「教わったように教えるな」』が6月18日に発売になります。
一足先に版元の研究社から送られてきましたので、感謝を込めてご紹介します。
若林俊輔先生(1931ー2002)は、大修館の雑誌『英語教育』や研究社の雑誌『現代英語教育』(休刊)での掲載論文数が最多の、文字通り英語教育界の第一人者でした。
本書は、そうした先生の数多い論文の中から「現在の日本の英語教育について考えていただく際に、補助線となるような記事を中心にピックアップし、それらに解説をつけて、氏をまったく知らない方でも理解していただけるようにまとめ」た本です。
若林先生の英語教育論文は、意外なほど本になっていませんでした(論文が多すぎたからでもありましたが、内容の過激さに当時の出版社がビビったのかもしれません)。
(註)先生の「過激さ」とは「正直さ」であり「誠実さ」です。
(註)先生の「過激さ」とは「正直さ」であり「誠実さ」です。
そんな論文群を、このような形で読めるとは!
すばらしい仕事です。関係各位に深い敬意を捧げます。
まさに待望の一冊です。
今こそ読まれるべき「若林節」が炸裂しています。
冒頭の数本の論文タイトルを挙げてみましょう。
・「英検」はやめてもらいたい
・教科書を値上げしよう
・小学校への英語教育導入ーーそれはわが国の基本教育の破壊である
・ALT導入反対の弁
いかがでしょう。
なつかしい若林先生の肉声が聞こえてくるようです。(先生の文章はしばしばトーク調です。)
全体の目次を挙げておきましょう。
英語教育史まで含む幅の広さ。
先生は、英語教師には英語教育史が必須であると言われ、自らも日本英語教育史学会の創設以来の会員でした。
先生は、英語教師には英語教育史が必須であると言われ、自らも日本英語教育史学会の創設以来の会員でした。
なにより、英語学習者への暖かいまなざしが感じられます。
若林先生が亡くなってから14年も経ってしまいました。
この間、「英語が使える日本人」育成策やら「グローバル人材」育成策やらと、ますます英語教育政策が迷走し、英語教育が歪められ、それに対抗する気骨のある英語教育関係者が絶滅危惧種となりつつあります。
これまで何度「若林先生が生きていてくれたらなあ!」と思ったことでしょう。
しかし、嘆いていては先生に「お前は何をしている!」と怒られそうなので、少しは努力をしましたが、若林先生の巨大さ、自分の至らなさを思い知らされる日々です。
(と言い訳しているとまた怒られそうですが。)
(と言い訳しているとまた怒られそうですが。)
この本から元気をもらい、戦線を離脱しないよう自分を戒めます。
みなさんもぜひお読み下さい。
現在の英語教育のさまざまな問題に、これほど鋭く切り込んでいる本はないでしょう。
亡くなって14年も経ってから論文集が出される英語教育者なんてめったにいません。
それほど、いま若林先生が求められています。
一方、それは私たちの「だらしなさ」でもあります。
若林先生なら「テイタラク」と書かれるでしょうが、そう言われないために、頑張りましょう!