協同学習で一番危険なことは、単なる「指導技術」だと思い込むことです。
より広い(あいまいな)概念であるアクティブ・ラーニングもそうです。
大事なことは、「どんな子どもたちに育てるか」という理念や哲学をしっかり持つことであり、そのために仲間同士で助け合い、学び合い、高め合う協同的な活動が必要なのです。
協同学習とは「理念+方法」なのです。
「協同学習を取り入れたら成績が上がった」という声は嬉しいことです。
でも、クラスが「勝ち組」「負け組」に2分され、「他者を追い落とすことで偏差値が上がった」というのでは、協同とは言えません。
つまずいている仲間を見捨てず、一緒に成長していこうという理念を伴ってこそ、協同学習と言えるでしょう。
そのためには、英語教材の中の「題材論」がきわめて重要です。
英語を単なる4技能に解消せず、また「英語は実技科目だ」といった一面的な規定に陥ることなく、「いかに人間性を育むか」、「人権と環境を守り、平和と民主主義を尊重する主権者をどう育てるか」という問題と直結するのが題材論なのです。
協同学習はすぐれた題材と結合することで、本来の威力を発揮するでしょう。
その点で、今回のゼミで取り上げた中学校用 New Crown 3 の教材 I Have a Dream は優れた題材です。
詳細はゼミ報告をご覧ください。
ただし、報告者は優しい性格のため批判的なことは書かれていませんが、実際には「まったく魂がこもってない」「この題材の本質が掴めていない」といった厳しいコメントも指導教員(僕です)から投げかけられました。
暖かくも厳しく磨き合いましょう。